◆第9回紫苑ステークス・G2(9月7日、中山競馬場・芝2000メートル)
秋華賞トライアルの第9回紫苑S・G2(7日、中山=3着までに優先出走権)の出走馬が5日、確定した。17年の菊花賞馬キセキの半妹ハミングは、兄と同じような歩みで秋を迎える。また、サロニコスは叔父のサリオスなど一族に活躍馬が多数。ともに前走で1勝クラスを勝利した良血馬が、大舞台への権利をつかみに行く。
<兄と同じ軌跡描く>
偉大な兄と同じように、緩やかな成長曲線を描いてきた。ハミングは17年菊花賞でG1初挑戦初制覇を成し遂げたキセキの半妹。キャリアはまだ4戦だが、未勝利―1勝クラスを連勝して、重賞初挑戦の時を迎えた。「デビュー当初は全体的な緩さやトモ(後肢)の甘さが目立ちましたが、春になった頃からそのあたりがしっかりしてきた」と福永助手は説明する。
歩みもどこか兄と似ている。初勝利こそ約半年遅い3歳4月だったが、2勝目は同じ7月で1勝クラス(兄は500万)の平場。ともに古馬と初対戦で、しっかりと結果を出した。そして、秋初戦に続く大一番を見据えた同世代との重賞を選択したのも同じだ。「相手も一気に強化されるので厳しいレースになるかと思いますが、連勝の勢いに乗って、いい競馬ができれば」。8月に2勝クラス(同1000万)も勝った兄より“勝負駆け”の色合いが濃いトライアルだが、手応えはある。
1週前に栗東・CWコースで6ハロン83秒4―11秒1と負荷をかけ、今週は同コースで4ハロン55秒6―12秒1と微調整で十分だった。態勢は整っている。「気持ちよく走れている感じで、動きも良かったようです」と福永助手。初勝利から約半年後の秋華賞で頂点へ―。兄を超える奇跡の歌を奏でたい。(山本 武志)
<一族の“定位置”へ>
一族の“定位置”に足を踏み入れる。今回が重賞初挑戦になるサロニコスは叔父にG1馬のサリオス、叔母にサラキア、サリエラを持つなど近親に重賞路線での活躍馬がズラリ。祖母にも独オークス馬のサロミナを持つ超一流の血統背景だ。
松下調教師は「3歳のこの時期だから、秋華賞を目指そうと。(鮫島)克駿は右回りの方がいいと言っていましたね」と説明する。先述した国内の活躍馬たちは古馬でも重賞連対など成長力が豊富。前走から3か月の間隔でパワーアップも見込める。「前進気勢が強い馬なので、うまく折り合えば。開幕週だから前で運び、ひと脚使いたい」とトレーナー。良血馬が最後の1冠への切符を狙う。