◆第41回ホープフルS・G1(12月28日、中山競馬場・芝2000メートル)
2024年中央競馬最後のG1、第41回ホープフルSは28日、中山競馬場で行われる。昨年制したレガレイラは有馬記念でVと飛躍。週を通して様々なファクターを掘り下げる「考察」はイシゴー(石行佑介)記者が担当。テーマを「完成度」に定め、現時点であの世界一、イクイノックスに勝るとも劣らないポテンシャルを示すクロワデュノールに注目した。
ホープフルSは非常にトリッキーな中山・芝2000メートルが舞台。タイトなコーナーを4度回り、急坂を2度乗り越える必要があり、機動力に加えスタミナも問われる。枠順や並びも含めて印を決定するまでしっかりと見極めていきたいが、完成度で一歩リードするのがクロワデュノールだろう。
デビュー戦がとにかく衝撃だった。チェルヴィニアの半弟アルレッキーノが単勝1・7倍で断然の注目を集めるなか、最後の直線できっちりと競り落とし、さらに2馬身半差をつける圧勝劇。東京・芝1800メートルの新馬戦史上最速タイムを叩き出したばかりか、後半5ハロンが全て11秒台という過酷なラップをしのぎきる心肺機能の高さを初陣から見せつけた。
前走の東京スポーツ杯2歳Sはレース後に北村友騎手が「100点満点じゃないというのは思っていた」と口にしたように、5か月ぶりの実戦で馬体は24キロ増。成長分を考慮しても仕上がり途上は明らかだった。それでも、最後にもたつきながらも勝利。逃げ馬を3/4馬身差でしっかり競り落とすあたりが非凡なポテンシャルの証しだろう。ここに向け一度レースを使い、照準はピタリと合っている。2戦ともに先行しており操縦性の高さも魅力。前述した過酷なコース形態をこなせる下地としては十分だろう。
新馬戦→東京スポーツ杯2歳Sのローテは昨年ターフを去ったイクイノックスと同じ。さらにキタサンブラックが父という共通点も興味深い。イクイは春のクラシックを見据え、皐月賞直行を選択したが、クロワデュノールは余力を持ってここへ駒を進めた。現時点で6冠馬より完成度の点では上という見方もできる。無敗での戴冠なるか―。追い切りも含めじっくりと見極めたい。(石行 佑介)