【高松宮記念】近3回のスプリントG1を制した馬がそろった点と「実績の重み」から記者が注目した馬は…

スプリンターズSに続くG1制覇を狙うルガル
スプリンターズSに続くG1制覇を狙うルガル

◆第55回高松宮記念・G1(3月30日、中京・芝1200メートル)

 春のG1シリーズもいよいよ開幕。第55回高松宮記念・G1が30日、中京競馬場の芝1200メートルで行われる。今春も、担当記者がさまざまな角度から出走馬を分析する「考察」で勝ち馬を探っていく。オープニングを飾るのは、おなじみヤマタケ記者。プロローグでは、近3回のスプリントG1を制した馬がそろった点と「実績の重み」から、ルガルに注目した。

 頂点に立ち続けることは難しい。一瞬の好判断が勝利を引き寄せ、わずかなミスが命取りになる電撃戦。実は過去10年で国内スプリントG1を連勝しているのは18年高松宮記念、スプリンターズSを制したファインニードルしかいない。このレースに限れば6ハロンのG1になった1996年以降の過去29回で連覇したのは10、11年のキンシャサノキセキ一頭だけ。前年の勝ち馬が参戦した例も近年では少ない。

 しかし、今年は驚いた。直近の国内スプリントG13戦を勝った馬3頭=ママコチャ(23年スプリンターズS)、マッドクール(24年高松宮記念)、ルガル(24年スプリンターズS)がそろって参戦しているのだ。過去10年でこの“そろい踏み”は18年に一度あったが、スプリンターズS連覇のレッドファルクスが入っており、3頭すべて違う馬という形は初めてだ。

 一筋縄ではいかないレースだが、実績の重みを感じたのが12年だった。1番人気は重賞連勝中でG1初挑戦だったロードカナロア。しかし、直線では好位から伸びあぐねる。視線の先では僚馬で、前年のスプリンターズSも勝っていたカレンチャンが先頭でゴールしていた。「カナロアも走るけど、カレンチャンも強いのにと思っていた。だから、驚きはなかったです」と2頭を管理した元調教師の安田隆行さんに聞いたことがある。G1馬の意地と誇りが、のちに世界のスプリント王と呼ばれる後輩をねじ伏せた。

 今年出走する3頭のG1ホースのうち、前走で復活を果たしたママコチャとマッドクールに目は行きがちだが、最も気になるのはルガルだ。初の海外遠征だった香港スプリントこそ11着に敗れたが、杉山晴調教師は昨年のJRA賞最優秀スプリンターに選出された時にこう口にした。「香港から帰った後の回復が早く、また一つ良くなっていると感じました」。G1を勝ち切ったことが、さらなる成長を引き出したとすれば…。例年とは毛色が違う実績馬の競演のなかでも、再び輝きを放てるはずだ。(山本 武志)

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