橋口弘次郎元調教師、05年有馬記念ハーツクライでディープに国内唯一黒星つけたことが誇り

ディープの右に出る馬はいないと語る橋口弘次郎元調教師
ディープの右に出る馬はいないと語る橋口弘次郎元調教師

 まだ17歳。惜しいの一言に尽きます。日本競馬を変えた偉大な父サンデーサイレンスの血を色濃く受け継いだような全身バネの走り、さらに普段のキャンターや歩き方から伝わる抜群の柔軟性は忘れられません。

 最も印象深いのが05年の有馬記念です。当時は無敗で3冠に輝き、圧倒的な存在感を誇っていた頃。私のハーツクライは4番人気でしたが、正直、レース前は負かすシーンを全く想像もできなかった。実際、4コーナーでディープがハーツのいる先行集団に取りついた時は「終わったな」と思いました。しかし、直線でも差は詰まらない。私は必死に踏ん張る愛馬の姿に声を出し、必死に応援したことを覚えています。ハーツクライで国内唯一の黒星をつけたことは、今でも私の誇りです。

 もう一つの敗戦、翌年の凱旋門賞挑戦は現地で観戦していました。このレースを勝つことは長らく日本競馬の悲願となっていますが、当時は負けるなんて一切、考えていなかった。3位で入線(その後、失格)した姿に世界の壁の厚さを感じ、非常にショックを受けたことを覚えています。

 引退後は内国産の馬ながら、産駒たちが次々と記録を塗り替えている。その活躍ぶりが本当にすごいだけに、早すぎたという思いが強く残ります。競走馬として、種牡馬として、日本競馬に残した功績を考えた時、ディープの右に出る馬はいません。日本競馬界におけるNO1ホースです。(JRA殿堂入り調教師)

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