◆第150回ケンタッキーダービー・G1(5月4日、チャーチルダウンズ競馬場・ダート2000メートル)
JRA海外馬券発売対象の第150回ケンタッキーダービー・米G1(4日、チャーチルダウンズ競馬場=日本時間5日7時57分発走)には、日本勢2頭の強力なライバルの米国調教馬がいる。昨年の米2歳王者で前哨戦を楽勝したフィアースネスに、末脚を武器に重賞連勝中のシエラレオーネはフォーエバーヤングのいとこにあたる。両陣営を、海外競馬取材経験が豊富なフリーライターの土屋真光氏が直撃した。
快速フィアースネス
フィアースネスは昨年8月のデビュー以来、通算5戦3勝。これだけを見れば普通の馬だが、勝った2つのG1では後続を大きくちぎり捨てた。昨秋のブリーダーズCジュベナイルを6馬身1/4差、フロリダダービーは13馬身半差をつけた。管理するのは、トッド・プレッチャー調教師だ。
「先週の火曜日にチャーチルダウンズ競馬場に入厩しました。輸送も完璧で、金曜日の追い切りもいい動きでした。その後も追い切りほどではないですが、速い調教を毎日こなしています。状態には満足しています」
一方で、敗れた2戦は何の抵抗もできずに勝ち馬に突き放されたように、驚異的な強さと、もろさが同居している。
「(2歳時の)シャンパンS(7着)も前々走のホーリーブルS(3着)も、どちらもスタート直後にガッチリと挟まれてしまったのが痛かったです。特にシャンパンSはその後もスピードに乗りかけたところで二度三度と不利を受けました。大きく離されたのは最後は流したため。前々走は少し良化途上で“サビを落とした”レースになりました」
日本から挑戦の2頭への警戒も忘れない。
「テーオーパスワードはいい追い切りでしたね。2頭とも良く見えます」
16番ゲート(馬番17)はむしろ歓迎だ。
「(逃げに固執しない)戦術的なスピードがありますし、馬群にもまれずに内の馬たちの出方を見ながら序盤を進められるのは有利です」
シエラレオーネ状態抜群
“2強”の一角、シエラレオーネを管理するチャド・ブラウン調教師は、日本競馬とは浅からぬ“縁”があるという。
「ミツ(中内田調教師)とは若い頃にルームメイトだったんです。それに、日本の馬が強いのは、身をもってよく知ってます。3年前のブリーダーズCで日本の馬が勝った2レース(BCフィリー&メアターフ=ラヴズオンリーユー、BCディスタフ=マルシュロレーヌ)とも、うちの馬が2着だったからね。今回の2頭もいい動きで手ごわいと思う」
シエラレオーネを初めて見た際の印象は鮮烈だ。
「サラトガで1歳の時に見たんだけど、全馬の中で一番“ベストルッキング”でした。だから購買してくれた馬主への期待に応えたいです」
4戦3勝。唯一の敗戦(3走前のG22着)をどう分析するか。
「初の2ターンで最初のコーナーから外を回ってロスの多い競馬でした。また、幼く、集中力を欠いた面もありました。そのため春に向けての調教でブリンカーを試して、レースでも使ったところ走りもよくなりました。21日にこちらに入厩し、状態は文句なし。今週も開催時間中のパドックスクーリングで、環境と歓声に慣れさせてます。あとは今回は初の内枠。キックバックは問題ないですが、囲まれるのだけは避けたいですね」