◆第74回阪神ジュベナイルF・G1(12月11日、阪神競馬場・芝1600メートル)
第74回阪神ジュベナイルフィリーズ(11日、阪神)で2歳女王の座を狙う出走馬には、かつて「皇帝」と称された名馬につながる血統の持ち主がいる。2戦2勝で主役候補の一角を務めるウンブライルは、5代母の子が1984年のクラシック3冠など国内G17勝を挙げたシンボリルドルフ。血統の魅力を「母を訪ねて」で探る。
ウンブライルの母ラルケットは現役時代に芝1400~1800メートルで計4勝をマークした。デビュー2連勝でサフラン賞を制し、3歳2月のクイーンCで3着に好走するなど、比較的仕上がりの早かったタイプと言える。繁殖入りしてからも、2歳時から活躍する優秀な産駒を次々と送り出している。
ロードカナロアの初年度産駒だった全兄ステルヴィオはデビュー2連勝でコスモス賞を勝ち、朝日杯FS2着とG1級の実力を発揮した。3歳時の18年にはスプリングSを制し、マイルCSでG1初V。マイル前後の距離で結果を残した。全姉ステルナティーアも新馬勝ち後、続くサウジアラビアRCで2着に好走。いずれも管理した木村調教師が「同じ種を持っている兄がマイルCSを勝っていて、阪神のこのコースにも対応している。そんなに心配していない」と語るように、ウンブライルもデビュー2連勝を飾った1400メートルからマイルへの距離延長を克服できる下地は十分にあると言える。
母の半兄クランエンブレムは芝やダートの1600~1800メートルで4勝を挙げた後、6歳春に障害に転向して翌11年の阪神ジャンプSを制した。同じく半弟クリーバレンは平地でこそ1勝もできなかったが、11年の新潟ジャンプSなど障害で3勝。サンデーサイレンス産駒の母アズサユミから、スピードに限らず持久力も受け継いでいる印象だ。
ウンブライルの母系の“ボトムライン”をなぞっていくと、5代母のスイートルナにたどり着く。産駒5頭のうちデビューした4頭はいずれも3勝以上を挙げており、4番子のシンボリルドルフは史上4頭目の牡馬クラシック3冠をはじめ、84、85年の有馬記念連覇などG1・7勝の歴史的名馬だ。数々の名馬を輩出した名門・シンボリ牧場ゆかりの血統。やはり距離の融通が利く底力が期待できる。(坂本 達洋)
◆シンボリ牧場 1921年に和田孝一郎氏が千葉県に前身の「新堀牧場」を開場。2代目の共弘氏はオーナーブリーダーの第一人者として活躍した。G1・7勝を挙げたシンボリルドルフをはじめ、69、70年の有馬記念を連覇したスピードシンボリ、85年の日本ダービー馬シリウスシンボリなど多くの名馬を送り出してきた。