【香港ヴァーズ】ウインマリリンがレーン騎手の「神騎乗」で日本勢唯一の白星 まさかの後方待機策で一気に差し切った

レーン騎乗のウインマリリン(右)が(左から)ボタニク、グローリーヴェイズをかわし、G1初制覇
レーン騎乗のウインマリリン(右)が(左から)ボタニク、グローリーヴェイズをかわし、G1初制覇

◆第29回香港ヴァーズ・G1(12月11日、シャティン競馬場・芝2400メートル=良)

 【香港11日=ペン・松末守司、カメラ・高橋由二】JRA海外馬券発売対象の香港国際競走がシャティン競馬場で行われた。日本馬計13頭が参戦し、香港ヴァーズ(芝2400メートル)で、ウインマリリン(レーン)がG1初制覇を飾った。ほかの3レースは地元香港勢が制し、香港カップでダノンザキッドが2着に入るのが精いっぱいだった。

 「神」がシャティンに舞い降りた。ウインマリリンがウィナーズサークルに引き揚げてくると、レーンと手塚調教師はグータッチで喜びを分かち合った。鞍上の華麗なエスコートで悲願のG1タイトルを奪取。海外G1初制覇となった手塚調教師は「神騎乗。素晴らしいと思う」と好プレーをたたえた。

 まさかの光景だった。戦前の作戦は先行策。それがゲートが開き、ポンと飛び出した愛馬の手綱をレーンがグッと押さえた。みるみる後方に下がり、道中は8番手を追走。誰もが目を疑ったが、エリザベス女王杯(2着同着)から継続騎乗の鞍上は信じていた。「末脚が切れるのは分かっていた。それを生かす乗り方をしようと思っていた」

 直線で外に出すとギアが一気に上がる。ゴール前で粘り込みを図るフランスのボタニクを一気にのみ込み、1馬身半差をつけて栄冠を手にした。周囲がざわつくミラクル騎乗にも、レーンは「気分良くリラックスして走っていた。彼女の走りができると自信があった」と涼しい顔だった。

 苦難を乗り越えビッグタイトルを引き寄せた。以前は右肘の肘腫という病気に悩まされ、なかなか結果につながらなかったが、5歳の今年に入って解消。順調に調整が進められるようになり、状態はどんどん上がっていた。手塚師は「一番大事な時に、いい状態じゃないなかで使うことになってしまって馬には申し訳なかった。G1を勝てる馬だとずっと思っていたので勝てて良かった」と安堵(あんど)した。

 クラブの規定で6歳春での引退が規定路線だが、トレーナーは「まだまだ可能性がある。今後はオーナーと相談して」と話すにとどめた。マリリンの夢にはまだ続きがある。

 ◆ウインマリリン 父スクリーンヒーロー、母コスモチェーロ(父フサイチペガサス)。美浦・手塚貴久厩舎所属の牝5歳。北海道新冠町・コスモヴューファームの生産。通算17戦6勝。主な勝ち鞍はフローラS・G2(20年)、日経賞・G2、オールカマー・G2(以上21年)。馬主は(株)ウイン。

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