◆第67回有馬記念・G1(12月25日、中山・芝2500メートル)
今年の有馬記念出走馬は、前哨戦がバラバラ。エリザベス女王杯が4頭、菊花賞、天皇賞・秋、ジャパンC、アルゼンチン共和国杯がそれぞれ2頭。そこで今回は、出走馬4頭が参戦した宝塚記念に注目してみたい。一昨年のクロノジェネシス、19年リスグラシューは同じ年の春秋グランプリを連覇するなど連動性もあり、暮れの大一番を占う上で無視はできない。
レースは前半1000メートル通過が57秒6というハイペースでパンサラッサが逃げを打ち、よどみないペースで持久力が求められる流れとなった。好位2番手から横綱相撲で抜け出したタイトルホルダーの強さが光る一方、外枠から真っ向勝負を挑んだディープボンドは4着、距離がやや長かったポタジェは11着。だが敗因がはっきりしないのが4角10番手から直線で伸び切れず6着に終わったエフフォーリアだ。
今年の始動戦だった大阪杯が9着と見せ場がなく、前走で初めてブリンカーを着用して臨んだ一戦。以前は道中で行きたがるぐらいの前向きさを見せていたはずが、このレースでも勝負どころでの反応がイマイチだった。鹿戸調教師は「春はいろいろな敗因があった。気持ちもあるし、経験したことがないハイペースだったり、ゲートのトラブル。宝塚の時は暑さもあった」と、力を出し切れなかったことを認める。
そこから半年。昨年の有馬記念覇者にとって、真価が問われる一戦となる。「(前走後は)思い切って休ませたことで元気になって帰ってきたし、前向きさも出てきているようなので、楽しみ」と鹿戸師。それ以来のぶっつけ本番だが、気持ちが乗って本来の力が出せれば、復権のチャンスは十分とみる。(坂本 達洋)