「あれは福永祐一のダービー」友道康夫調教師が語った思い出 2歳馬託す枠設け18年ワグネリアンで初V後押し

愛情あふれるエールを送った友道調教師(左)と矢作調教師
愛情あふれるエールを送った友道調教師(左)と矢作調教師

 サウジカップデー(25日、キングアブドゥルアジーズ競馬場)の騎乗を最後に引退する福永祐一騎手(46)=栗東・フリー=は、現役最後の5年間で一気に騎手歴代2位となる日本ダービー3勝を挙げた。タッグを組んだ友道康夫調教師(59)=栗東=が、戦友に「餞(はなむけ)」を寄せた。

 感情を抑え切れなかった。18年の日本ダービー。友道調教師は引き揚げてくる福永とワグネリアンの姿に目頭を熱くした。落ち着いて喜びをかみしめた2年前の自身初制覇時(マカヒキ)とは全く違う光景。「自分が勝ったことより、ユーイチの初めてという方がうれしかった。あれは福永祐一のダービーですね」と振り返る。

 友道厩舎には、その数年前から期待の2歳馬を託す“福永枠”があった。「ダービーを目指すには、7月の中京あたりから使った方がいい。ユーイチには早くから『空けておいてね』と頼んでいました」。ワグネリアンも7月16日デビューの“福永枠”。悲願を大きく後押しした。

18年にワグネリアン(右)で日本ダービーを制した福永
18年にワグネリアン(右)で日本ダービーを制した福永

 出会いは松田国英厩舎の助手だった99年。重賞4勝のフサイチエアデールがきっかけだった。「まだ若い(デビュー4年目)のに、馬を自分からつくるんじゃなく、馬の気持ちに寄り添うような感じ。今と変わりませんね。一番付き合いの長いジョッキーです」。互いの成績が上向くにつれ、信頼関係もどんどん深まった。調教師試験の合格を報告された時には「(自分と同じ)調教師だから、頑張り過ぎないように頑張れ」と笑って返した。

 福永の魅力は「普通の人間」だという。「馬の社会って独特な面があると思うけど、彼は普通のサラリーマンでも通用すると思うよ。人間関係のバランスの取り方なんて本当にうまい」。温かい視線の先には、初めて同じステージで戦うことになる“ライバル”の姿がしっかりと映っている。(山本 武志)

 ◆友道 康夫(ともみち・やすお)1963年8月11日、兵庫県生まれ。59歳。02年11月に開業。JRA通算672勝で、重賞は58勝(うちG1はダービー3勝を含む17勝)。

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