◆第60回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(3月5日、中山・芝2000メートル)
皐月賞トライアルの第60回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(3着まで優先出走権)は3月5日、3冠初戦と同じ中山競馬場の芝2000メートルで争われる。混戦模様の3歳牡馬クラシックロードの主役に名乗りを上げるべく、ホープフルS2着の実力馬トップナイフが始動する。
混戦クラシックとは言わせない。G1・2着の実績を持つトップナイフが、報知杯弥生賞から堂々と主役に名乗りを上げる。「ドンピシャでいけば、2つ(皐月賞、日本ダービー)のどっちかは何とかなる」と昆調教師は手応えを隠さない。無敗の3冠馬ディープインパクトを筆頭に数々のG1馬が勝った伝統の皐月賞トライアルを制す。
「緩さがあったので、芯がもうひとつ太くなればと思ってやってきた」と前走後も在厩で調整。15日には栗東・CWコースで6ハロン79秒7の自己ベストをマークするなどパワーアップは顕著だ。「大人びた感じはする。以前は牝馬っぽい感じだったが、迫力が出てきた」とトレーナー。黒羽根助手も「馬体重は変わりませんが、ひと回り大きくなったように見せている。たくましくなりましたね」とうなずいた。
前走のホープフルSでは逃げて鼻差2着。2走前の京都2歳Sでは、4角で大きな不利を受けながら、へこたれず直線で差し脚を伸ばし頭差の2着。あと一歩のところで、タイトルには手が届いていないが、重賞クラスの力は示している。位置取りやレース展開を問わない自在性は、トリッキーな中山コースでは大きな武器。「中山は合っている」とトレーナーも自信を見せる。
厩舎の先輩になるディープスカイは08年、デビュー10戦目でNHKマイルC、11戦目で日本ダービーを制した。昆厩舎らしくトップナイフも2歳時に7戦を消化し、実戦を使われて成長を続けてきた。「G1に向かって行く前哨戦。どれだけ今後への上積みがあるか」と先をも見据えた指揮官。ここを通過点に、クラシックの頂を勝ち取る。(戸田 和彦)
〈解説〉2歳王者2頭が“王道”とは別路線へ。年が明けても重賞ウィナーが入れ替わり、牡馬のクラシック戦線は確固たる主役が現状、不在だ。
ホープフルS組は、4着のファントムシーフが共同通信杯を制覇しており、上位馬は一定以上の評価が必要になる。それ以外の組では皐月賞と同舞台の京成杯を2馬身半差で快勝したソールオリエンスや、きさらぎ賞で重賞初制覇を飾ったフリームファクシ。朝日杯FS2着のダノンタッチダウン、東京スポーツ杯2歳Sを制したガストリック(ホープフルS16着)などはトライアルを使わず皐月賞に直行するため、力関係が把握しづらい状況。また先週のすみれSを快勝したシャザーンなど新星候補も誕生している。
来週のスプリングSには2戦2勝のベラジオオペラ、若葉Sには共同通信杯3着のダノンザタイガーがスタンバイ。今週の報知杯弥生賞を筆頭に、皐月賞トライアルでハイパフォーマンスを発揮した馬が出れば、クラシック戦線の中心に躍り出そうだ。