◆高松宮記念追い切り(22日・栗東トレセン)
常識的には厳しい挑戦だ。ピクシーナイトは左前脚の膝骨折で1年以上の休養を強いられたうえ、復帰予定だった阪急杯は左後肢の歩様の乱れで回避。ぶっつけでのG1挑戦を余儀なくされた。しかし、この馬なら何とかなるのでは、という気持ちが日々高まっている。
この中間、思わず目を奪われたのが15日に栗東・坂路で行った1週前追い切りだった。最後はステッキまで入った状態で50秒3―12秒1。骨折明けでは明らかに最も負荷をかけてきた。ただ、もともとが攻め馬は動く馬。調教をつける生野助手は「良くはなっているけど、物足りなさもあります」と口にしつつ、「これでどれだけ良くなってくるか」と攻めた効果に期待を寄せていた。
上昇度を確認したかった今週、アリストテレス(6歳オープン)相手に1馬身半追走から、軽く手綱を動かしながら52秒8―12秒0で半馬身先着した。この馬にしては正直、動きに派手さはないが、生野助手の調教後の表情は明るかった。「先週やったことで良くなっている。あとは息の面や実戦勘がどうかだが、現時点でできることはやった。仕上がっていると思います」。手綱越しに確かな良化を感じている。
これまでデビューから騎乗してきた福永(現調教師)が、先月の調教で感触を確かめた新コンビの戸崎がともに絶賛したように、個人的にも秘めた素質は超一級品とみている。攻め馬を重ねるにつれ、徐々に取り戻している輝き。常識を覆す激走があってもいい。(山本 武志)