見逃すな!皐月賞前日の大レース「中山グランドジャンプ」…難波騎手が教える障害レースの楽しみ方

クリノオウジャで中山GJに挑む難波騎手
クリノオウジャで中山GJに挑む難波騎手

 桜花賞が終わり、16日の牡馬クラシック第1弾、皐月賞に世間の注目が集まる。だが忘れてはいけない、もうひとつの大レースがある。15日に行われる中山グランドジャンプ(J・G1)だ。

「4250メートルと距離も長いですし、5回のバンケット(谷)の上り下りに大きな障害が2つ(大竹柵、大生け垣)、ゴールしたらみんなすぐに止まってしまうように、日本一タフなコースです」と難しさを話すのは、今年4勝と好調な難波剛健騎手(栗東・フリー)。大竹柵と大生け垣、この障害を使うのは中山グランドジャンプと、12月の中山大障害の2レースしかない。それゆえ、「人馬ともに、大障害コースの経験がなかなか積めないのが難しいですね」と経験が何よりも重要と語る。

 17年のこのレースで2着したのが、難波騎手と当時9歳のサンレイデュークのコンビだった。「デュークも重賞で経験を積んできて、僕も大障害コースの経験を重ねていた。いいポジションで競馬ができればと思っていました」と手応えを感じて臨んだ一戦だった。4コーナーでは勝負に出て、先頭に並びかけたのだが…。ただ、相手が悪かった。「もしかしたらと一瞬、思ったのですが、逆にはじき返されました」。そう、この時の勝ち馬は“絶対王者”オジュウチョウサンと石神騎手だった。ゴールでは3馬身半、逆に突き離されてしまったが、3着アップトゥデイトには8馬身と、サンレイデュークの走りも立派だった。「JRA初騎乗もですが、平地初勝利と障害での初勝利、初のG1騎乗、それからデュークでの重賞初勝利、全て永井啓弐オーナーの馬なんですよ」と縁が深い、かつての相棒を懐かしんだ。

 翌18年の中山グランドジャンプ(9着)を最後に引退したサンレイデュークは、今は中京競馬場で誘導馬として活躍している。「やっぱり、姿が見えるとうれしいですね。“おっ、デュークいるな”ってなります。調整ルームに入る前に、会いに行ったりもしました」と交流が続いている。

 障害馬になるためには、最初は丸太をまたぐところからスタートする。それさえ、最初はためらう馬が多い。時間をかけて、鞍上と少しずつ意思を通わせ、慣れてくると飛越練習を始めるが、障害試験に合格しないとレースには出られないのだ。試験に合格する前にあきらめる馬も、たくさんいる。難波騎手は「(障害馬を育てる)過程もファンに見てもらいたいですが、それはなかなか難しいこと。初障害から2戦目での変わり身とか、飛越の上達とかを感じていただきたいです。人馬一体をより、感じられるのが障害レースです」と楽しみ方を教えてくれた。

 今年はクリノオウジャ(牡7歳、高橋義忠厩舎)で難関に挑む難波騎手。「我々障害ジョッキーも、皐月賞に負けないくらい熱いレースにしたいと、みんなが思っています」と意気込む。飛越のたびに上がる拍手もすごく励みになっているそうだ。15日は、熱いファンの大きな拍手と歓声が待っている。今年の中山グランドジャンプも、きっと最高のレースになるに違いない。さあ、踏み切ってジャンプ!(中央競馬担当・山下 優)

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