◆皐月賞追い切り(12日、栗東トレセン)
皐月賞(16日、中山)の出走予定馬18頭の追い切りが12日、東西トレセンで行われた。栗東・坂路でG1・3勝馬ソダシに先着したきさらぎ賞Vのフリームファクシの変ぼうぶりには、ヤマタケ(山本武志)デスクが迫った。
須貝調教師のうれしそうな表情が本当に印象的だ。
「賢くなった」
この中間、フリームファクシの動きに対し、何度も聞いたフレーズ。そこで思い出したのがちょうど1年前、初めてトレセンに入厩した時だ。
半姉は日英G1で2勝のディアドラ。血統の良さから取材を受けることが多かったが、常に「気性に注意しながら、慎重にやっていかないといけない」と表情を引き締めていた。というのも、同じ須貝厩舎で1つ上の半兄リューベックが気性の難しさがネックになった。それだけに弟にも細心の注意を払う必要があった。そのため、入厩から1、2週間で受けることが多いゲート試験に1か月をかけたほどだ。
前走のきさらぎ賞は1角での接触から力んだまま。「勝つには勝ったけど、納得のいかない走りでした」と振り返る。ただ、ここで本番への直行を選択すると、短期放牧でガス抜きもされた中間は長い距離を走るコース追いも折り合いがスムーズ。「賢くなった」ことは一目瞭然だ。
操縦性増した この日の最終追い切りは栗東・坂路で併せ馬の相手はG1・3勝のソダシ。迫力十分の僚馬を横にしながらも全く動じることはない。自分のリズムを守るように、軽く促されると54秒0―11秒9で首差先着した。「息を入れる程度でよかった。のびのび走っていたと思います」。今回はレーンとの初コンビだが、操縦性を増した今なら不安材料ではない。確かな進化は大一番で証明する。(山本 武志)