【日本ダービー】初挑戦の武井亮調教師、ハーツコンチェルトは思い入れ深い母ナスノシベリウスの最高傑作

思い入れ深い血統のハーツコンチェルトで初ダービーに臨む武井調教師
思い入れ深い血統のハーツコンチェルトで初ダービーに臨む武井調教師

◆第90回日本ダービー・G1(5月28日、東京競馬場・芝2400メートル)

 武井調教師の礎ともいえる血の結晶、ハーツコンチェルトが厩舎初の大舞台で輝きを放つ。米国生産馬の母ナスノシベリウスは芝で3勝。和田正道元調教師の元、調教助手として携わった武井師は「テンションの上がり方がとてもかわいくて、調教師試験合格の時に一番印象に残っている馬を聞かれて、この馬を答えようと思ったぐらい」と懐かしみながら語る。

 母になってからも初子のナスノシンフォニーが2歳時に牡馬相手のG1・ホープフルSで5着。屈腱炎で長期休養を余儀なくされたが、復帰後も2勝を挙げるなど活躍した。その後もデビューした産駒は全て2勝以上を挙げ、高い能力をしっかり伝え続けている。これまでは全て牝馬だったが、ハーツコンチェルトが待望の牡馬だった。姉たちを全て管理してきた武井師は「このきょうだいは、生まれるとすぐ見せてくれて、ハーツコンチェルトが圧倒的に一番いい馬だと思った。牧場の評価も同じでしたね」と当歳時から高い素質を感じ取っていた。

 その期待に応え、中京に遠征したデビュー戦は8馬身差の圧勝。青葉賞ではスキルヴィングに敗れはしたものの、力強い伸び脚で半馬身差の2着。初のダービー切符を獲得した。「牧場やオーナーも期待していたので、最低限応えられたのは良かった。厩舎のスタッフの士気も上がっています」と声を弾ませる。デビューから手綱を執り続ける松山にも「オーナーも信頼しているし、僕もうまいと思っていて、いいパフォーマンスをすれば、ずっと乗り続けてもらえるだろうと思っていた。それに馬も応えてくれた」と信頼を寄せる。

 父サンデーサイレンス系に母の父にアンブライドルズソングを持つ産駒は牡馬3冠含めG15勝のコントレイル、ジャパンC勝ち馬のスワーヴリチャードなどがいて、血統的にも東京芝2400メートルは最適の舞台。武井師の最も思い入れの深い母の最高傑作が、さらなるパフォーマンスを発揮してくれるに違いない。(松井 中央)

 ◆武井 亮(たけい・りょう)1980年12月25日、山梨県生まれ。42歳。07年8月に美浦・二ノ宮厩舎で厩務員、同年4月から高木厩舎、11年1月からは和田道厩舎で調教助手として従事。14年3月に開業。同16日、中山7R(アーマークラッド)で初勝利。JRA通算189勝。リエノテソーロで16年のG1全日本2歳優駿など交流重賞3勝。

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