アーモンドアイ、昨年の落選乗り越え対象2年目で史上35頭目「殿堂入り」 国枝栄調教師「大変光栄」

20年ジャパンCで有終の美を飾ったアーモンドアイ(手前)
20年ジャパンCで有終の美を飾ったアーモンドアイ(手前)

 JRAは6日、2023年度の顕彰馬に、18年の牝馬3冠など芝G1最多9勝を挙げたアーモンドアイ(牝8歳)を選定したと発表した。投票者207票中200票を獲得し、全体の4分の3以上の得票という基準をクリア。選定対象1年目の昨年は8票差で選ばれなかったが、今年は殿堂入りを果たし、20年のキタサンブラック以来、史上35頭目の顕彰馬となった。

 2年越しで名実ともに名馬の仲間入りを果たした。最強女王アーモンドアイが、選定対象2年目で顕彰馬に選出された。昨年は、得票率71・3%で選定基準に8票足りずに選出を逃し、ファンの間でも物議を醸したが、今年は得票数200票、同96・6%で文句なしの選出となった。

 名馬を後世に伝えていくことが、競馬界の礎になると話してきた国枝調教師は「大変光栄に思います。調教師として関われたことは、私にとっても厩舎スタッフにとっても素晴らしい財産。記録と名を残すことは競馬文化として大事なこと。語り継いでいくことが大事。そういう意味でも選出されたことは良かったです」と感慨深げに喜びを口にした。

 激闘の日々がそのまま競馬界の歴史だった。現役時代は、牝馬3冠を達成すると、3歳牝馬ながらジャパンCに参戦。芝2400メートルを競馬史上最速の2分20秒6で駆け抜けて世界の度肝を抜き、18年の年度代表馬に選ばれた。活躍は日本にとどまらず、翌19年3月には初の海外遠征だったドバイ・ターフも制した。

 20年の引退レースとなったジャパンCでは、3冠馬コントレイルなどを退け、日本調教馬による史上最多の芝G19勝の金字塔を打ち立て、頂点に君臨したままターフを去った。シルクレーシングの米本昌史代表は「およそ3年半の競走生活で積み上げた9つのG1勝利は、ひとつひとつ強烈な印象とともにまだまだ記憶に新しいところです」と現役時代に思いをはせた。

 夢のバトンは子どもたちに受け継がれている。引退後、繁殖牝馬となり、初年度はエピファネイアと交配し、22年1月に初子となる牡馬、今年はモーリスの牡馬を出産。さらに3月にはキタサンブラックの子を受胎したことが発表されている。国枝師は「きっとアーモンドアイはその子どもたちに夢をつないでいってくれるでしょう」。唯一無二のアーモンドアイは、色あせることなく、永遠に語り継がれていく。(松末 守司)

 ◆アーモンドアイ 父ロードカナロア、母フサイチパンドラ(父サンデーサイレンス)。15年3月10日生まれの牝8歳。現役時代は美浦・国枝栄厩舎に所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は15戦11勝(うち海外1戦1勝)。重賞はG1・9勝を含む10勝。総獲得賞金は19億1526万3900円。JRA賞は年度代表馬(18、20年)、18年最優秀3歳牝馬、20年最優秀4歳以上牝馬。馬主は(有)シルクレーシング。

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