【宝塚記念】イクイノックスが異次元のG1・4連勝で「世界一」証明 ルメール騎手「アーモンドアイを思い出した」

ルメールの手綱に応え、差し切り勝ちを収めたイクイノックス
ルメールの手綱に応え、差し切り勝ちを収めたイクイノックス

◆第64回宝塚記念・G1(6月25日、阪神競馬場・芝2200メートル、良)

 第64回宝塚記念は25日、阪神競馬場で行われ、単勝1・3倍の圧倒的1番人気に支持されたイクイノックスが、ファン投票歴代最多得票に応える“世界一”の走りでG1・4連勝を決めた。後方から進み、コーナーで大外を回って直線を迎えると、豪脚で突き抜けた。鞍上のルメールはかつて騎乗したG1・9勝の名牝アーモンドアイに迫る手応えを口にし、喜びを爆発させた。

 見よ。これが世界一だ! イクイノックスが直線で先頭に躍り出ると、割れんばかりの拍手が仁川を包んだ。ゴール後も、4万人超の観客の興奮はさめない。ルメールは「世界一の馬で勝つことができて本当にうれしい」と破顔。ウィニングランでスタンドへ向けたガッツポーズに、G1・4連勝の達成感が込もっていた。

 道中は後方2番手に控え、3角から徐々に進出。荒れた内を避け、約8頭分外を回る荒技で直線に向いた。ここからは独壇場。ルメールとぴったり呼吸を合わせながら、弾丸のように伸びた。一頭、また一頭と蹴散らす。「安全な騎乗がしたかった。3、4コーナーまで我慢して、素晴らしい走り。今日は(馬が)自分でレースを勝った」。着差こそ首差だったが、異次元の強さを示した。

 ルメールは中団追走を描いていたが、発馬直後にバランスを崩し、前方の位置を取れなかった。イクイノックスにとって、初めて経験する阪神。前残りだったこの日の馬場…。「コースのプレッシャーがあった。宝塚記念は昔からチャンピオンが勝つことができなかった」。単勝1・4倍に支持された父キタサンブラック(17年)を始め、1番人気馬が大敗した歴史もある。しかし、1角では「自分のリズムで走れていたので、これから勝つ自信があった」。想定外の展開でも人馬ともに冷静さを取り戻し、単勝1・3倍の断然支持に応えた。

 レースを終え、ルメールの脳裏に浮かんだのはG1・9勝の名牝。「アーモンドアイを思い出した。秋華賞を勝ったとき、同じ競馬だった」。19日付スポーツ報知のインタビューに「(アーモンドアイは)日本で乗った馬で一番」と語っていたが、この日の圧勝に“一番”を予感させる手応えを得たに違いない。

 秋はジャパンCが大目標。ルメールは「僕はただのジョッキー」といたずらっぽい笑みを浮かべた後、表情を引き締めた。「どこでも、乗ったらいい競走をしたい。勝ちたいね、もちろん」。舞台はどこであれ“世界一”を守り続けるのみだ。(水納 愛美)

 ◆イクイノックス 父キタサンブラック、母シャトーブランシュ(父キングヘイロー)。美浦・木村哲也厩舎所属の牡4歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算8戦6勝(うち海外1戦1勝)。総獲得賞金は14億8918万8100円(うち海外4億5889万100円)。主な勝ち鞍は22年天皇賞・秋、有馬記念、23年ドバイ・シーマクラシック・G1。馬主は(有)シルクレーシング。

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