【セレクトセール】コントレイル初年度産駒に歴代3位5億2000万円 福永厩舎へノースヒルズが「開業祝い」

5億2000万円をつけた「コンヴィクション2の2023」(手前、セール写真は(C)Japan Racing Horse Association)
5億2000万円をつけた「コンヴィクション2の2023」(手前、セール写真は(C)Japan Racing Horse Association)

 国内最大の競走馬のセリ「セレクトセール2023」の当歳セッションが11日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。無敗の3冠馬コントレイルの初年度産駒が初登場し、「コンヴィクション2の2023」(牡)が国内市場3位の5億2000万円で(株)ノースヒルズに落札された。父の主戦で、来春開業予定の福永祐一調教師(46)へ預託される。同産駒は総額25億7200万円で落札され、この日最大の注目を集めた(価格は税別)。

 場内が静まるなか、ヒートアップするビッドの応酬。5000万円からスタートした落札額は最後、5億2000万円でハンマーが振り下ろされた。無敗の3冠馬コントレイルの初年度産駒、「コンヴィクション2の2023」を国内セール史上3位の高値で競り落としたのは、父を生産したノースヒルズ代表の前田幸治氏。「3億くらいかと思ったが、いい馬なので引くに引けなかった」と苦笑いも浮かべたが、すぐにいつもの柔らかい笑顔に戻った。

 アルゼンチンの芝G1ウィナーを母にもつ当歳には、朝の下見段階から多くの購買者が訪れ、目玉となっていた。国内市場最高額のキングカメハメハ初年度産駒、ディナシーの6億円には届かなかったが、祖父の3冠馬ディープインパクトの初年度産駒最高額だったトーセンレーヴの2億2000万円(08年セレクトセール当歳)を大きく上回る高額馬が誕生した。前田氏は「今回のセリで一番いい馬。顔やバランスもいいし、歩かせると柔らかい」と満足げな表情をみせた。

 白熱したセリに同席していたのは、騎手時代に父を無敗の3冠に導いた福永祐一調教師。前田氏は「僕の最大の開業祝いです」と、同馬を来春開業予定の福永厩舎に預託することを明かした。福永師は「コントレイルらしい品のある馬。体のバランスの良さを感じています。競走馬としてしっかりと整えていければ」と最大級のエールに気を引き締めていた。

 父をほうふつとさせる黒光りした馬体、皮膚の薄さが特徴のダイヤの原石は、順調なら25年にもデビューする。これからどんな輝きを放つのか。2月10日に生まれた小さな体には、想像もできないほどの大きな夢が詰まっている。(山下 優)

 〈「バイバイベイビーの2023」が産駒2位の3億3000万円 父の馬主・前田晋二氏が落札〉

 コントレイル産駒は、当歳セッションでセリにかけられた20頭(欠場1頭)が全て落札され、そのうち8頭が億超えとなった。産駒2番目の高値となった「バイバイベイビーの2023」(牡)は3億3000万円で父の馬主・前田晋二氏が落札。代行した兄の前田幸治氏は「いい馬で、どうしても落としたかった」と納得の表情を浮かべた。

 同馬の預託先となり、父を現役時代に管理した矢作調教師は「コントレイルの評価が高いと感じています。この馬は顔もバランスもとにかく全てがいい。父を超える活躍を期待したい」と手応えを感じていた。

 初年度産駒から売却総額25億7200万円をたたき出し、1頭あたりの平均売却価格1億2860万円は、ディープの初年度の6161万円(落札31頭)を大きく上回った。注目度の高さをアピールするには十分の一日だった。

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