◆第71回クイーンS・G3(7月30日、札幌競馬場・芝1800メートル)
貴重な体験が生きている。矢作調教師にとって、古川奈の大井研修はずっと温めていたプラン。競馬学校入学まで乗馬もしたことのなかった弟子に、経験を積ませるためだ。「まだまだだが、大井が実になっている。落ち着いて乗れるようになった。少しは俺の満足するレースが増えたな」と笑った。
矢作師が以前からよく口にしていたのが「周りから信頼される騎手にならないと厳しい」という言葉。昨夏の北海道は他厩舎の馬で連対がなかった。しかし、今年はすでに他厩舎で2勝、2着4回の6連対。成長ぶりを物語る数字だ。矢作師も「関東馬も結構、頼まれるようになった」と喜ぶ。
今回は自厩舎のグランスラムアスクとの重賞初挑戦。全4勝中3勝へ導いた“主戦”と言える存在だ。「これが自信になってくれればいいね」。まな弟子が充実の夏に刻む大きな一歩を心待ちにしている。(山本 武志)