26、27日に札幌競馬場で開催された「2023ワールドオールスタージョッキーズ」は、初日3位タイのJRA選抜・岩田望来騎手(23)=栗東・フリー=が初出場で初優勝を果たした。05年に制した父・康誠騎手(49)=同=との親子制覇はシリーズ35回目で史上初。1着なしでの優勝は、14年の浜中以来7開催ぶり5例目。2位は1ポイント差で、前日首位のレイチェル・キング。3位も1ポイント差で、昨年覇者の武豊が続いた。WAS選抜は第1、3、4戦で勝利したが、チーム対抗ではJRA選抜が22ポイント上回る235ポイントで制した。
若武者が世界を相手に戦い抜いた。万雷の拍手に包まれ、岩田望は両手でガッツポーズ。「最高です!」17年のカナダのダシルヴァ以来の初出場初優勝。1着はなかったものの、〈3〉〈7〉〈2〉〈3〉着と堅実な成績を収めた。「できれば1着を取って優勝したかったけど、優勝できたので良かったです」と笑みがはじけた。
第4戦の直線。ライバルが荒れた内側を避ける中、ただ一人だけウインルーアを最内に導いた。力いっぱい腕を動かし、14番人気で3着を確保。「着に来ないと優勝できないなと思っていた。一か八かで内を取って、馬が頑張ってくれた」。第3戦終了時点では首位と13ポイント差の4位だったが、執念で逆転Vをつかんだ。
05年に前身のワールドスーパージョッキーズシリーズを制した康誠と、史上初の親子制覇だ。父が兵庫代表として最終戦を勝ち、逆転優勝した当時、望来はまだ5歳。自身はJRAでデビューし、18年の時を経て、同じく1ポイント差で頂点に立った。この日、母は札幌で観戦していたが、父は新潟で騎乗。雄姿を見せることはかなわなかったが、「父の前でも勝ちたかったです。来年も出られるように頑張りたいですね」と新たな目標につなげた。
デビュー5年目にして、全国リーディング5位。通算382勝を挙げ、若手のホープとして躍進している。「海外のジョッキーや日本のトップジョッキーと乗れてとても楽しかったですし、充実した4戦だったと思います」と、国内外の名手からさらに刺激を受けた。「大舞台で活躍できるように、この秋頑張ります」。栄冠を弾みに、G1戦線でも存在感を発揮していく。(水納 愛美)
武豊「惜しかった」2ポイント差連覇ならず
2位で迎えた2日目は第3戦こそ3着と気を吐いたが、逆転を狙ったマイネルダグラスで臨んだ第4戦は好位から粘り切れずに6着。最終的には3位で、2年連続の頂点は逃した。表彰式前に「惜しかった~、2点差や」と悔しがりながらも、「表彰台に立てて、なんとかワールド・オールドスター・ジョッキーの面目は保てたかな」と“ユタカ節”で笑いを誘った。