◆第37回セントウルS・G2(9月10日、阪神・芝1200メートル)
今週から中山、阪神の2場開催となり、秋競馬が開幕する。サマースプリントシリーズ最終戦、第37回セントウルS・G2(10日、阪神)は1着馬にスプリンターズS・G1(10月1日、中山)の優先出走権が与えられる一戦。春にスプリント経験を積んだアグリが、秋の大仕事につながる重要なステップレースに挑む。
春の経験を実りの秋につなげたい。スプリントG1・6勝を誇る安田隆調教師が手がけるアグリが始動戦を迎える。1週前の8月31日には、栗東・坂路で50秒9―11秒9。ダイナミックな動きで好タイムをマークした。「スプリンターズSへの過程として、まずはここをクリアしてほしい。いい前哨戦になればいいですね」と力を込めた。
スプリント王者へ順調にステップを踏んでいる。今年初戦の阪急杯を4連勝で重賞初制覇を果たすと、高松宮記念に参戦。8か月ぶりのスプリント戦がG1というハードルに加え、差し馬が上位を占めたなか展開も向かなかった。前、前で運ぶ正攻法の競馬で、7着に終わり連勝は止まったが、見せ場十分の内容に手応えをつかんだ陣営。秋の飛躍へ香港のチェアマンズスプリントプライズへの遠征を決めた。
「今後のレースの糧になるように経験させたかったですし、たくましくならないといけない」とトレーナー。普段とは違う飛行機での輸送や、慣れない異国の地での調教。結果は5着だったが、スプリント王国と称される香港G1の激しいレースを経験させ心身の成長を促した。ロードカナロアやカレンチャンのG1馬などの経験を踏まえての“英才教育”。「馬に落ち着きが出ますし、競馬に対しても集中できると思います」と期待を込めた。
来年2月に定年を迎える安田隆調教師にとっては最後の秋。今年のスプリンターズSで4勝目をマークすれば、高松宮記念(3勝)に続き歴代単独トップに立つ。「夏は北海道でいいリフレッシュができたので、秋にエネルギーとして発揮してくれれば」と順調な調整を伝えたトレーナー。前哨戦を制し、堂々とスプリンター頂上決戦に駒を進める。(戸田 和彦)