◆第74回毎日王冠・G2(10月8日、東京競馬場・芝1800メートル)
第74回毎日王冠・G2(1着馬に天皇賞・秋の優先出走権)は8日、東京競馬場の芝1800メートルで行われる。ソングラインは春にヴィクトリアM、安田記念を完勝と一気に覚醒。この後は昨年断念したブリーダーズCマイル・G1(11月4日、米サンタアニタパーク競馬場)への転戦を予定しており、今回は大一番へ向け、弾みをつけたい前哨戦となる。
復活の春、そして世界へ羽ばたく飛躍の秋だ。ヴィクトリアマイル、安田記念とG12連勝中のソングラインは秋の始動戦に堂々と挑む。美浦・Wコースでの1週前追い切りは、3頭併せの真ん中から5ハロン67秒7―11秒4の馬なりで悠々と最先着。動きを見届けた林調教師は「いい動きでした。戸崎騎手には『心技体ともにいたって順調です』と言っていただきました」と目を細めたが、いつにも増して名手の言葉に重みを感じていた。
昨年の安田記念でG1初制覇を果たした後、ブリーダーズCマイル参戦を見据えた秋のセントウルSは5着に終わった。その後は喉頭蓋の腫れの治療のため米国遠征は白紙となり、年明けに連覇を狙ったサウジアラビアの1351ターフスプリント・G3も10着に大敗。「このままでは終われないという思いでした」と指揮官が意を強くするなか、新コンビを組んだ戸崎の“金言”が狂った歯車を直していったという。
今春の2レースでの追い切りには毎週のように騎乗してもらい、林師は「新たな視点からアドバイスをいただきました。一番は体を使って走らせることでしょうか」と感謝する。普段の軽い運動を含め、常歩(なみあし)からダク、ハッキングへと速いペースに移行するなかで、一歩目の感覚を以前より少し前へと意識して変えた。ささいな工夫に思えるが、効果は歴然として結果に表れた。
今回も2週前から鞍上がコンタクトを取り、林師は「戸崎ジョッキーがスタッフとコミュニケーションを取っていただき、ちょうどいいところをつくっていただきました」と何度もうなずく。その先に見据えるのはブリーダーズCマイル。2年越しの挑戦へ、さらに磨き上げられた姿を見せる。(坂本 達洋)