【こちら日高支局です・古谷剛彦】いつか来る減少の時代を前に若い世代が議論

 日本全国の軽種馬青年部員で構成される日本軽種馬青年部連絡協議会は11月22日、札幌市内のホテルで第33回定期総会に併せ、「せり市場に関するパネルディスカッション」と題する研修会を行った。

 研修会にはJBBA日本軽種馬協会から上野儀治副会長常務理事などのほか、JRAから生産地研修生4名も出席した。開催に先立ち、会長を務める佐々木拓也氏(青森・スプリングファーム代表)は「コロナ禍の前に行ったパネルディスカッションが好評で、皆さんが自分の意見を発信できる場を設ける趣旨を含め、今回もパネラーの方々に議論して頂こうと思いました。建設的な意見もあるでしょうし、生産者として大事な競りの在り方を皆で考えていければと思っています」と挨拶した。

 パネラーに(株)ヒポファイルブラッドストック代表取締役の今村明浩氏、合同会社オールインエクワイン代表の飯山剛至氏、岡田スタッドマネジャーの岡田壮史氏、日高軽種馬農業協同組合市場事業部の及川哲也部長が務めた。私は座長という立場で参加したが、北海道市場が厳しい時代だった20年前と今の状況を比べ、運営面の変化や活況が戻った要因などを探った。そして、競走馬市場は右肩上がりの状況が続いているものの、今夏の猛暑を受けて今後の競りの在り方を様々な視点で議論した。

 当然、長時間に渡ったサマーセールは議論が白熱したが、パネラーからの意見のみならず、参加した生産者から「サマーとセプテンバーは一括申込になっている中で、サマーは主取手数料を取る形にして、自信がない生産者はセプテンバーに回ってもらうという考えとかはあっても良いのでは?」という提案があった。

 売却率が良い今の状況で、パーセンテージはセレクションより下であってもサマーに手数料を設ければ、上場馬の分散は狙えるのでは、というもの。日高の生産者にとって、主取手数料はアレルギーに感じる世代もいる中で、研修会に参加した方々に多数決を取った際、意外にも半数以上が賛成というものだった。手数料ゼロの市場はあるので、そのあたりは一考の余地はあっても不思議はない。

 また、札幌競馬場を活用したセリ開催について、現行のトレーニングセール以外にも設けられないかという議論では、離乳後の当歳市場を行う案や、オータムセールを札幌で開催することで価値を高めて上場馬の分散を狙う案など様々な意見が挙がった。

 今回の議論がすぐに競走馬市場につながるものは正直、少ないだろう。しかし、市場の活況が続いているが故に、いつかは来る減少の時代を前に、若い世代はできることを必死に探っている。2024年を迎えるまで1か月を切り、来年のせり日程など枠組みなどが決まる時期でもある。様々な課題に向け、今回の議論が生かされる時が来ることを期待したい。(競馬ライター)

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