【阪神JF】令和にオグリ旋風ー開業1年目・小栗実調教師「どちらもチャンス」初G1いきなり2頭出し

G1に挑むナナオ(右)とプシプシーナ(馬上は小栗調教師)
G1に挑むナナオ(右)とプシプシーナ(馬上は小栗調教師)
開業1年目で大舞台に挑む小栗調教師
開業1年目で大舞台に挑む小栗調教師

◆第75回阪神JF・G1(12月10日、阪神競馬場・芝1600メートル)

 2歳女王決定戦の第75回阪神JF・G1(10日)は、阪神・芝1600メートルで行われる。開業1年目の小栗実調教師(36)はナナオとプシプシーナの2頭出しでG1初挑戦。ここまで14勝を挙げる新進気鋭のトレーナーは直撃に「どちらもチャンスはある」と言い切った。

 今年3月に栗東で開業した小栗実調教師がG1に初挑戦―。手塩にかけて鍛え上げたナナオとプシプシーナの2頭を送り込む。

 「すぐにG1を使いたいという野望はありましたが、非常に恵まれています。1歳から成長過程を見ていますし、感慨深いですね」

 岐阜県で生まれ、競馬関係者がいない環境で育った。周りが競馬ゲームのダービースタリオンをやっていた影響で、競馬に興味を持った。

 「騎手も考えましたが、体重のことがあって…。当時、売っていた競馬辞典で、厩務員という仕事を知りました」

 高校を卒業後、軽種馬育成調教センター(BTC)を経て、アイルランドで約3か月の修行。帰国後は武田ステーブル(北海道浦河町)で3年半の経験を積んだ。

 「ナナオは18歳でBTCに在籍していたときに研修で訪れた二風谷ファームの生産馬なんです。稲原昌幸代表には、僕がトレセンに入ってからもずっと気にかけてもらい、お世話になっています」

 JRA厩務員過程を経て、10年10月に栗東・鈴木孝志厩舎へ。主に攻め専(調教専門の助手)として腕を磨き、調教師試験は7回目の挑戦で合格した。

 「うちにしかない色を出したいと思ってやっています。例えば、(坂路に続く)逍遥馬道を通る時に、火木土は右回り、水金日は左回りのように景色を変えたりして馬に刺激を与えています」

 ナナオは厩舎として重賞初挑戦となった函館2歳Sで2着と好走し、前走のもみじSで逃げ切り勝ち。初めてのマイルに対応するため、この中間は馬の後ろで我慢させたり、コース調教の頻度を増やしている。

 「増田和啓オーナーが、女優の菜々緒さんに会いたいという理由で命名しました(笑い)。逃げなくてもいいし、心肺機能がホントにいいです」

 プシプシーナは、登録締め切りの11月26日に白菊賞で2勝目を挙げ、抽選なしでの出走を確定させた。

 「小柄で阪神の坂がどうかですが、勝負根性はいいものがあり、馬も成長しています。私自身がレースで緊張することはありません。どちらもチャンスはあると思います」

 こん身の仕上げの2頭で大舞台に挑戦する。(玉木 宏征)

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