イクイノックスが18日、けい養先の社台スタリオンステーション(SS)に到着した。サトノダイヤモンドがブリーダーズSSに移動するため、社台SSの有馬記念優勝馬はオルフェーヴル、キタサンブラック、エフフォーリアとの4頭となる。
近年は海外を含めてビッグレースが多様化し、有馬記念もゆとりのあるローテーションで挑む有力馬が増えて実力通りの結果が目立つ。波乱があるとすれば軽量の牝馬もしくは3歳馬が食い込む時だが、クラシックで好走した3歳馬はファンの支持を集める傾向が強まっており、2年連続で3歳馬が1番人気に応えている。
種牡馬としての価値を高める上で、長距離の実績のみでは厳しい時代に突入した。クラシックウィナーでも、古馬になってからの芝2400メートル以下のG1は必須のタイトルとなっている。その中にあって、有馬記念は芝2500メートルでも内回りで行われる点から器用さが求められ、勝負どころから瞬時に反応できる機動力が必要とされる。ディープインパクトやオルフェーヴル、リスグラシューはもちろん、ゴールドシップが勝った時も4コーナーでは射程圏内に取りついていた。距離は違えど、皐月賞馬が有馬記念でも好走するケースが目立つが、同じ中山芝内回りで行われるG1という共通項がある。長く「皐月賞は速い馬が勝つ」と言われてきたが、有馬記念にも速さが求められる時代になった。
今年の出走予定馬を眺めると、有馬記念に縁のある馬がズラリと並んだ。ディープインパクト、ハーツクライ、オルフェーヴル、キタサンブラック、ドリームジャーニーと優勝馬の産駒はもちろん、母の父にマンハッタンカフェがいたり、スクリーンヒーローを経る形でグラスワンダーの血も走る。有馬記念はまさに、血統のドラマである競馬の集大成だ。
今年の3歳馬は皐月賞馬ソールオリエンスと、ダービー馬タスティエーラの競演となる。イクイノックスの引退後、キタサンブラック産駒をけん引する立場となるソールオリエンスは秋2戦で苦杯をなめたが、得意の中山内回りに舞台を移して反撃が期待される。タスティエーラは春から直行した菊花賞で2着に健闘。春は皐月賞でソールオリエンスに敗れたが、ダービーで雪辱を果たした。報知杯弥生賞ディープインパクト記念で勝利を収めており、コース相性ではソールオリエンスにひけを取らない。
古馬陣も、ラストランとなるタイトルホルダーを筆頭にそうそうたるメンバーがそろったが、世代交代を期待して3歳馬を狙いたい。本命はソールオリエンスだ。(競馬ライター)