◆第58回報知杯フィリーズレビュー・G2(3月10日、阪神・芝1400メートル)
桜花賞(4月7日、阪神)トライアルの第58回報知杯フィリーズレビュー・G2(10日、阪神=3着までに優先出走権)の出走馬が7日、確定した。開業3年目の中村直也調教師(45)=栗東=はロゼフレアとセシリエプラージュの2頭出し。第60回金鯱賞・G2(10日、中京)にはヤマニンサルバムで挑戦し、同日重賞ダブル制覇へ「春が楽しみになる結果になれば」と意気込みを見せていた。
開業3年目。昨年は初制覇を含む重賞2勝をマークした新進気鋭の中村調教師が、報知杯FRにロゼフレアとセシリエプラージュ、金鯱賞にヤマニンサルバムを送り込み、JRA史上22回目(18人目)の同日2重賞Vを目指す。管理馬で初のクラシック挑戦がかかるトライアルに「特別意識していませんが、出られるチャンスのある馬は使っていきたい。才能のある馬は出してあげたい」と力を込めた。
“キャラ”の違う2頭で、ロゼフレアは前走の紅梅Sは4着に終わったが、今回は2走前に万両賞を制した舞台。「前走はペースが遅くて切れ負けしました。そういう形よりも、流れてくれた方が競馬はしやすい」。ペースアップの見込める多頭数で、直線で坂のある阪神替わりは、持久力のあるロゼに歓迎。一方のセシリエプラージュは、デビューから3走続けてラスト3ハロン33秒台の末脚が武器。「一瞬の脚が生きる展開になれば」と爆発力に期待した。
金鯱賞のヤマニンサルバムは、今回と同条件の前走の中日新聞杯で重賞初制覇。全6勝のうち5勝が当地の“中京の鬼”だ。「一番結果の出ているコース、距離。メンバーは強くなりますが、ここで結果が出るようなら」と重賞連勝へチャンス十分だ。
高校時代に競馬に携わる仕事に就きたいと決意し、オーストラリアの競馬学校に単身留学。世界的名馬のガリレオなどを育てたアイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎で腕を磨き、その後に栗東トレセン入りした“異色”の経歴の持ち主だ。「春が楽しみになる結果になればいいですね」と期待に胸を膨らませ、週末の2重賞を見守る。(戸田 和彦)
◆中村 直也(なかむら・なおや)1978年8月20日、大阪府生まれ。45歳。漫画「風のシルフィード」や、ゲーム「ダービースタリオン」に触れ、父と行った競馬場でオグリキャップやバンブーメモリーを見て競馬の世界を志す。04年1月にJRA競馬学校の厩務員課程に入学。湯浅三郎厩舎、小崎憲厩舎で調教助手などを務め21年に調教師試験に合格。22年開業。JRA通算46勝。昨年のレパードS(ライオットガール)、中日新聞杯(ヤマニンサルバム)の重賞2勝。
◆一日重賞2勝 これまで調教師では21回あり、最近10年では7回(うち安田隆行元調教師が2回)。直近では今年1月28日に杉山晴紀調教師が根岸S・G3(エンペラーワケア)、シルクロードS・G3(ルガル)を制している。