4月17日の開幕を前に、ホッカイドウ競馬では2歳馬による能力検査が3月14日、門別競馬場で始まった。昨年より34頭も多い154頭が受検。全26Rが稍重のコンディションで行われた。7R、14R、21R終了後にハロー掛けが行われ、午前11時から約5時間半の長丁場だった。能検の2週前に大雪に見舞われ、除雪作業は行ったものの、万全の状況で使えないことから、昨年に引き続き内走路を使用した。
内走路はコーナーがきつく、3コーナーでスムーズに回ることができない2歳馬は少なくない。特に外枠の馬たちは、より慎重にコーナーを迎える。一日を通して内枠の馬が逃げ切るケースが目立った。この日の一番時計は、19Rのファストワン(牝、小野望厩舎、父エスポワールシチー)の49秒6。重心の低いフォームで軽快に先行し、同じ小野望厩舎のハーフブルー(牝、父サンダースノー)が馬体を併せてきても、かわさせない根性を見せて逃げ切った。個人的に採時したレースラップは13秒0-12秒0-12秒5-12秒1と、追われた後の反応の良さが垣間見えた内容だった。
毎年、当欄で書いていることだが、能検初日に一番時計をマークした馬は2016年以降、2020年を除いて北海道か南関東で重賞ウィナーに輝いている。その2020年も、トンデコパがフレッシュチャンレジを8馬身差で逃げ切り、フルールCで0秒1差の2着と連対を果たしている。ファストワンはイグナイターやヴァケーションなど、地方を舞台とする重賞に強いエスポワールシチー産駒で注目の逸材だ。
そして、新種牡馬の産駒にも視線が注がれたが、3Rでフォーウィールドライブ産駒がワンツーを決めた。1着インテンスドライヴ(牝、田中淳司厩舎)は、気合をつけて先手を奪い、直線は余力を持ってフィニッシュ。51秒3で逃げ切った。2着オールケアドリーム(牡、小野望厩舎)は、道中で尾を振るなど若さを出していたが、終始外を回る展開ながら末を伸ばして51秒4をマークした。
ホッカイドウ競馬の能力検査は開幕前週まで、毎週木曜に行われる。3月21日から3歳以上の能検も始まる。天候は冬に逆戻りしたかのような日が続いているが、能検の走りなど2歳馬の話題が弾む馬産地は着実に春が近づいている。(競馬ライター)