◆第68回大阪杯・G1(3月31日、阪神・芝2000メートル、良)
春のG1シリーズ第2弾、第68回大阪杯は3月31日、阪神競馬場の芝2000メートルで16頭によって争われ、2番人気のベラジオオペラが直線の追い比べを制してG1初制覇を果たした。レースの流れを読み切った横山和生騎手(31)=美浦・フリー=の積極的な先行策がズバリ的中。同世代の皐月賞馬やダービー馬などを退け、3度目の挑戦でビッグタイトルをつかんだ。
絶対にこのコンビでG1を勝つ―。2番手で積極的に立ち回ったベラジオオペラは、外で食い下がるローシャムパーク、内を猛追したルージュエヴァイユを退け、首差だけ前に出てゴールに飛び込んだ。横山和は「最高にうれしい!」とガッツポーズ。これでJRAのG1は3勝目だが、その全てを阪神で挙げる男は、得意の22年宝塚記念以来のビッグタイトルに喜びを爆発させた。
レースの流れは読めていた。大阪杯の前半1000メートル通過は60秒2。この日の同舞台で行われた8R(4歳上2勝クラス)より0秒7遅く、後半は58秒0と対照的な持久力勝負になった。「今日の馬場傾向を踏まえて、イメージ通り。ああいう形になると、結構強い馬。無理を言って頑張ってもらった」と鞍上は愛馬をたたえ、胸を張った。昨年の日本ダービーはタイム差なしの4着。「あの悔しさは忘れられない」という思いを胸に、積極果敢な策でVへ導いた。
19年の厩舎開業から6年目での悲願のG1制覇となった上村調教師は「このコンビで何とかG1を、と思っていた」と冷静な表情の中にも、うれしさをのぞかせた。雨の影響を考慮し、最終追い切りを木曜にスライド。「正解だった」と采配もさえ渡った。さまざまな状況に臨機応変に対応できる柔軟性が、年々勝ち星を伸ばし続ける要因の一つと言っていい。
世代レベルに疑問符をつけられることも少なくなかった現4歳牡馬。自身が制した昨年のチャレンジC以来となる、久々の2000メートル以上の重賞勝ちで周囲の“雑音”もはねのけた。
中距離路線を代表する一頭となったベラジオオペラだが、まだまだ進化の途中だ。「成長する余地が残されている。強い馬に負けないような仕上げをしたい」と指揮官が言えば、「どのような成長を見せてくれるか楽しみでしかない」と横山和。ピタリと息の合ったコンビが、次はどんな作品を上演してくれるのか。興味は尽きない。(山下 優)
◆ベラジオオペラ 父ロードカナロア、母エアルーティーン(父ハービンジャー)。栗東・上村洋行厩舎所属の牡4歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算成績は8戦5勝。総獲得賞金は3億9007万8000円。重賞3勝目。主な勝ち鞍は23年スプリングS・G2、23年チャレンジC・G3。馬主は林田祥来氏。