◆桜花賞追い切り(3日、栗東トレセン)
牝馬クラシック第1戦の第84回桜花賞・G1(7日、阪神)の最終追い切りが3日、東西トレセンで行われた。馬トクスタッフで最高の「G評価」となったのは、無敗4連勝での制覇を目指すアスコリピチェーノ。関東から栗東に駆けつけた浅子祐貴記者が、コラム「見た」で分析した。
最近のトレンドになりつつある関東馬の栗東滞在。1月から関東の馬トクスタッフに加わった私にとっても初めての“栗東滞在”だったが、関東馬を中心にじっくりと追い切りをチェックした。特に印象に残る動きと感じたのが、無敗4連勝で桜の女王の座を目指すアスコリピチェーノだ。
3日の最終追い切りはCWコースでフェブランシェ(4歳2勝クラス)を2馬身追いかける形で始め、直線の入り口で瞬く間に並びかけた反応、瞬発力はさすが“2歳女王”。6ハロン80秒6は今回の滞在で最速の時計で、ラスト1ハロンは11秒6とシャープに伸び、鼻面がぴたりと合って併入した。阪神JFへの滞在でCWコースで時計を出したのは3回だったが、今回は5回と調教の強度を上げて万全の仕上げを施した。
黒岩調教師を取材すると「阪神JFから成長して、より良い走りを見せられる状態。予定していた以上の調教を課すことができ、成長を実感しながら順調に調整できた」と力強い声。ステップを挟まず4か月ぶりで挑む臨戦過程だが、何度も『順調』という言葉が飛び出したのは、大きな手応えをつかんでいる証しに違いないと感じた。
私は北海道の牧場で、競走馬の育成に携わった経験がある。そのとき先輩から言われ、学んだことは「馬の鼻面が合った状態での併せ馬は、乗り手の技術が問われ、馬にとっても負荷をしっかりかけられる」。こういった調教を目指して日々、馬づくりに励んだことを思い出す。派手に突き抜ける動きに目を奪われがちだが、アスコリの最終追い切りは厩舎スタッフの技術を結集させた実に中身の濃い調教。女王の座へ、最高の最終デモに映った。(浅子 祐貴)