◆第84回皐月賞・G1(4月14日、中山競馬場・芝2000メートル)
近年のクラシックはトライアルを挟まず、本番に直行する有力馬が増えている。昨年の覇者ソールオリエンスも1月の京成杯からの臨戦。十分な間隔を取り、フレッシュな状態で大一番を迎えたいとする各陣営の意図が見える。
そのトレンドもあってか、2月中旬の共同通信杯は“間隔”のアドバンテージがあり、好素材が集まりやすい。今年はジャンタルマンタルが2着。デビュー2戦目で昨年の最優秀2歳牡馬を破ったジャスティンミラノが相当な能力を持っていることは間違いない。ステップレース診断の「G」評価は妥当だと思う。
ただ、個人的に注目したいのは王道トライアルの報知杯弥生賞ディープインパクト記念だ。良発表でも荒れた馬場状態。コスモキュランダがマークした1分59秒8は、過去10年で最も速かった。加藤士調教師はレース前から自信があったと明かす。「1勝クラス(中山・芝2000メートル)で2着だった時の1分59秒9はホープフルSよりも速い。ああいう馬場は向くと思っていました」。実際に同G1・2着のシンエンペラーを完封した。
小回りの中山とあって、舞台経験や適性の高さは「大きなアドバンテージ」と加藤士師も強調する。鞍上は先週の桜花賞をステレンボッシュで制したモレイラ騎手。馬券の妙味を考えても、大いに評価したくなる一頭だ。(坂本 達洋)