◆第29回NHKマイルC・G1(5月5日、東京競馬場・芝1600メートル)
3歳マイル王決定戦、第29回NHKマイルC・G1(5月5日、東京)に、3月開業したばかりの福永祐一調教師(47)=栗東=が、チャンネルトンネルを送り出し、G1初挑戦する。開業日から61日でのJRA・G1制覇なら史上最速だ。
早々と戻ってきた。開業から、もうすぐ2か月。福永調教師が初めて愛馬をG1の舞台に送り出す。チャンネルトンネルは前走のアーリントンC3着で優先出走権を獲得。「上手に立ち回って、頑張ってくれました。(東京マイルは)条件的にいいと思う。ただ、今年はメンバーがそろっているから」と冷静に分析した。
騎手時代にJRA史上3位タイのG1・34勝。福永師は自らの強みを「いい馬の背中を知っていること」と語る。開業時から調教に積極的に騎乗し、適性や能力を察知する。特にチャンネルトンネルは父のグレーターロンドンに17年の安田記念で騎乗(4着)した経験もある。「爪が弱くて、思うように使えなかったみたいだけど、G1を勝てるぐらいの力はあった。こういう子供を出しても不思議はないです」と口にする。
5勝を挙げる順調なスタートを切ったが、すでに先も見据えている。ここまでレースで走っている馬は前厩舎からの引き継ぎ馬がほとんど。「最初は前に管理された先生のおかげで勝たせてもらいましたし、自分のやりたいこと、調教方針を注ぎ込んでやっていけるのは2歳からだと思っています」。その言葉通り、新馬が始まるのは6月だが、先週までに早くも6頭の2歳馬が入厩。自分の色を出せる下地を着々とつくっている。
開業日から61日でのJRA・G1初勝利なら、森秀行調教師の69日を上回る史上最速。騎手時代の05年にラインクラフトで勝利したレースで調教師でも勝てば史上初だ。ただ、経験豊富な福永師に気負いはない。「(毎日が)楽しいよ。やりたいことをやれているからね」。充実の日々のなかで、もうすぐ大きな一歩を踏み出す。(山本 武志)