【ヴィクトリアM】昨年マイルCS制覇しV候補のナミュール 最大のライバルに復活の気配漂う意外な馬が

復活へ好気配を漂わせるスタニングローズ
復活へ好気配を漂わせるスタニングローズ

◆第19回ヴィクトリアマイル・G1(5月12日、東京・芝1600メートル)

 古馬牝馬マイル女王決定戦の第19回ヴィクトリアマイル・G1は12日、東京競馬場で行われる。多角的に出走馬を分析する今週の「考察」担当は山下優記者。プロローグは、復活を目指す22年の秋華賞馬スタニングローズに注目した。NHKマイルCをジャンタルマンタルで制した高野厩舎が、G1馬2頭出し。昨年のマイルCS制覇で人気必至のナミュールの最大のライバルになるとみた。

 ヴィクトリアマイルが近づくと、歴史的な大波乱となった15年を思い出す。1着は5番人気ストレイトガールだったが、2着に12番人気のケイアイエレガント、3着は最低18番人気のミナレットで、3連単は何と2070万5810円。G1レース最高配当記録として、今も破られていない。

 今年は昨年のマイルCSの勝ち馬ナミュールが実績から中心の立場だが、ドバイ・ターフからの帰国初戦で先週2日に栗東に帰厩したばかり。トレセンでの滞在日数が少ないなかでの競馬になる。前哨戦の阪神牝馬Sを勝ったマスクトディーヴァも、東京への長距離輸送があった2走前の東京新聞杯で6着と、本来の力を発揮できていない。有力候補にも気になる部分があり、今週の気配をしっかり確認したいところだ。

 現時点で注目しているのはスタニングローズ。22年の秋華賞で、同じ高野厩舎のナミュール(半馬身差の2着)を抑えてG1初勝利。ところが、昨年のヴィクトリアマイル(12着)の後は、左前脚の腱周囲炎などで休養に専念せざるを得なかった。5歳になり、10か月半ぶりで挑んだ前走の大阪杯は強豪牡馬が相手。かなり条件が厳しいうえに、良化途上の雰囲気のなかで8着だったが、勝ったベラジオオペラから0秒5差。ハナに行く積極的な競馬で、次戦以降に期待を抱かせる内容だった。

 ひと叩きした効果は絶大だ。この中間、高野調教師は「非常に状態がいいんです。動ける体になっている感じですね」と声のトーンが一気に上がった。去年、結果を出せなかったとはいえ、これまでマイルで2勝しており、トレーナーは「総合力があるから、マイルもこなせます」と自信の表情を浮かべる。

 今回の大きなポイントとなる高野厩舎。登録15頭のうちG1馬は2頭だけで、どちらも高野厩舎の所属馬だ。人気必至のナミュールにとって最大のライバルは、僚馬のスタニングローズかもしれない。秋華賞馬の復活が気になっている。(山下 優)

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