【ヴィクトリアM】藤岡康太さん導いた昨秋マイルCS覇者 初コンビ武豊「衝撃的なレースだった」再現誓う

坂路をシャープに伸びたナミュール(カメラ・高橋 由二)
坂路をシャープに伸びたナミュール(カメラ・高橋 由二)
ナミュールの印象を語る武豊
ナミュールの印象を語る武豊

◆第19回ヴィクトリアマイル・G1(5月12日、東京・芝1600メートル)追い切り=5月8日、美浦トレセン

 第19回ヴィクトリアマイル・G1(12日、東京)の追い切りが8日、東西トレセンで行われた。昨秋のマイルCS覇者で、3月末のドバイ・ターフ2着以来となるナミュールが栗東・坂路で躍動し、動き1位のG評価を得た。同じく坂路で軽快に伸びたマスクトディーヴァが動き2位。考察担当の山下優記者はスタニングローズの上昇ぶりに注目した。

 さすがG1馬という動きで、報道陣の不安をシャットアウトした。ドバイ・ターフ2着からの臨戦となるナミュールは栗東・坂路で単走追い。いつも通りの高野厩舎流で、2本目に54秒0―12秒0。外ラチ沿いをぐいぐいと駆け上がり、最後は少し手綱を動かすとシャープな伸びを披露した。高野調教師は「ためる時間をつくって、最後だけ加速させる感じで。上がりの馬の表情、歩様をみたら万全ですね」と胸を張った。

 帰国検疫の関係から、栗東に帰厩したのは先週2日。レースまでの日が浅く、体調面が注目されていたが、動きからは全く問題はない。5日の日曜にも坂路で55秒8―12秒3をマークしている。時計を2本出せたのが、何よりの証拠になる。「日曜は軽く動かしたが、弾んでいた。状態はかなり高いレベルにある」と、その時点で不安がなくなったからこそ、指揮官は最終追いでもしっかりと攻めの調教を施した。

 昨年のヴィクトリアマイルでは2番人気に推されたが、スタートで不利を受けて7着。だが、その頃とは違う。「富士S→マイルCS→香港マイルというローテーションを無事に過ごせたのが、この馬の成長を促したと思います」。牡馬相手に《1》《1》〈3〉着だった昨秋の戦績からもパワーアップしているのは明らかで、牝馬同士なら力が一枚上の存在だ。

 そのマイルCS制覇は、ムーアの負傷で当日に代打騎乗した藤岡康太さん(享年35)の手綱だった。「康太くんはすごい仕事をしてくれたと、いまでも思います。彼が(G1馬に)押し上げてくれたナミュールを、さらに高みに持っていきたい」と力強く宣言した。たくさんの思いを乗せて、2つめのG1制覇へ突き進む。(山下 優)

 

 ◆武豊に聞く

―ナミュールの騎乗依頼を受けて。

 「すごくチャンスのある馬で、声をかけてもらった」

 ―初コンビだが、どのような印象があるか。

 「すごく切れ味がある。最後の直線は、すごい脚を持っている馬」

 ―勝利のポイントは。

 「力を発揮できれば、昨年マイルCSを勝ったように、この距離では日本を代表する馬。(前走の)ドバイ・ターフは勝ったかというレースだったし、世界トップレベルの実力の持ち主」

 ―そのマイルCSは、先月亡くなった藤岡康太さんが代打騎乗で勝った。

 「衝撃的なレースだった。ああいうレースがまたできればいいなと思っている」

 ―意気込みを。

 「これだけの馬の依頼をいただいたので、応えたい気持ちは強い」

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