いよいよ今週は競馬の祭典を迎えました。普段は競馬をやらない方からも話題に挙がるのが有馬記念と、日本ダービー。美浦トレセンも、いつもとはひと味違った空気感が漂っていて、私にとっては馬トクスタッフになってから初めてのダービー。各馬の追い切りや取材感触をもとに、今年の世代の頂点に立つ馬をしっかりと見極めてきたいと思っています。
そのダービーが終わると、翌週には来年のダービーを目指す2歳戦がスタート。POGファンの至福の時間といえば、来年のクラシックで活躍する姿を想像して、指名馬を考えている時ではないでしょうか。私もドラフトを控え、現2歳世代をチェック。各クラブの募集馬を見ている時に、「森一誠厩舎」の名前に目が留まりました。
森一厩舎は、今年3月に美浦で開業し、5月20日時点で24戦4勝。出走回数は多くないものの、勝率16・7%は全国リーディング8位につけています。トレーナー自身は、04年から堀宣行厩舎に所属し、サリオスやロックドゥカンブといった実力馬を担当。「モーリスやドゥラメンテのような馬で世界と戦ってみたい」という志を持って、7度目の試験で合格をつかみました。
森一厩舎の現2歳世代には、近親に今年のオークス馬チェルヴィニアがいるインプロペリア(牝、父ロードカナロア、母パストフォリア、サンデーサラブレッドクラブ)や、母がマーメイドSの勝ち馬で、オークス馬シンハライトの姉という良血のサラスヴァティー(牝、父レイデオロ、母リラヴァティ、キャロットクラブ)など充実のラインナップ。
さらに2歳戦の開幕週に向けては、母がともに重賞で活躍したエンブロイダリー(牝、父アドマイヤマーズ、母ロッテンマイヤー、シルクホースクラブ)と、カルデライト(牝、父ナダル、母コーディエライト、G1サラブレッドクラブ)がピッチを上げています。森一調教師は「2頭とも色んなことを一つ一つ経験して、ステップアップしている」と初陣に向けて順調な調整をアピール。「新規開業でこれだけの馬を預けていただいているので、期待に応えたい思いです。1年前から話をいただいて成長を見てきたので、楽しみですね」とデビューを心待ちにしています。
開業前の取材で「堀厩舎では、クラシックを狙うような馬ばかりが集まっていたので、大きいレースに行く心構えはできている」と話していたのが印象的。「一頭、一頭の長所と短所をしっかり見極めて、結果を出していきたい」。日の丸を連想させる厩舎ロゴに加えて、2歳世代の顔ぶれを見ると、これから飛躍していく予感がしています。
(中央競馬担当・浅子 祐貴)