◆第91回日本ダービー・G1(5月26日、東京競馬場・芝2400メートル)
ホースマンたちが最高の栄誉を求めて挑む日本ダービー(26日、東京)。
いち早く、ダイヤの原石に反応した。ジャスティンミラノが栗東に初入厩した昨年9月末。500キロ近い馬体は線が細く、周囲の評価も高くなかったが、今も調教を担当する藤本助手は違った。「またがった第一印象や四肢、特にトモ(後肢)の使い方で走るんじゃないかな、と思ったんです」と懐かしそうに振り返る。
藤本助手は18年のダービー馬、ワグネリアンの担当だった。名馬の背中を知る“経験値”は大きな強みだ。「ワグネリアンはダイナミックなフォームで走りますが、テンションが上がりやすかった。ジャスティンは折り合いに不安がないので、ポジションを取りにいけるんです」と分析する。
心強い“援軍”もいた。皐月賞までは藤岡康太さんが負荷をかけていた1週前追い切り。今回は同期の荻野琢に託された。「後ろから行くと、(バランスが)前に乗ってくると聞いていました」。生前の康太さんからの言葉を胸に皐月賞馬を完璧に誘導。亡くなった直後は涙が止まらなかったが、今は力強い視線で「いい状態で向かえると思います」と太鼓判を押す。
この日は全休日。ダービーウィークの調整へ向け、英気を養った。「康太騎手も荻野騎手も、うちの調教をよく分かってくれていますから。しっかり結果を出したいです」と藤本助手。同期の絆と経験豊富なチーム力で、史上8頭目の無敗2冠へ突き進む。(山本 武志)