◆日本ダービー追い切り(22日・栗東トレセン)
タイムは求めていない。シュガークンの最終追いは、栗東・坂路で55秒6―13秒6。はっきり言って遅いが、これでいい。担当の宮本助手が「坂路で単走だと動かない」と話す通り、大寒桜賞の最終追いは55秒4―13秒0、青葉賞は55秒7―13秒1と近2走も同様。これで3連勝中なのだから、心配はいらない。
肝心の動きも、状態の良さが伝わるものだった。無理に行きたがらず、体を大きく使った走り。脚さばきもパワフル。清水久調教師は「輸送もありますし、さっと上るだけ。申し分ないと思いますね」ときっぱり。自信が込もった口調だ。
G1・7勝馬キタサンブラックの半弟。清水久師は「のんびりしているし、周りに左右されない」と共通点を挙げる。しかし弟はレース前にイレ込みやすく、武豊は「ドゥラメンテ産駒らしいかな」と分析。実際、前走はゲート内でソワソワしていたという。そう聞けば、指揮官が「テンションだけ上げないように」と注意していたのも納得。落ち着きを優先させたこの追い切りは、最適解だ。
鞍上はダービー6勝で、兄の主戦も務めた。清水久師は「キタサンブラックの弟でユタカさんでこんな大舞台に、というのは感謝しかない」と感慨深げだった。生涯一度の大舞台で主役に名乗りを上げる準備は整ったと見る。(水納 愛美)