長く助走を取ったぶん、大きな飛躍を遂げている。今年3月に調教助手から障害ジョッキーへと転身した坂口智康騎手(33)=美浦・尾形厩舎=は、第26回東京ジャンプS・JG3(22日、東京・芝3110メートル)で自厩舎のロードトゥフェイムに騎乗し重賞初挑戦する。デビューわずか3か月半での大舞台に「馬主さまをはじめ、尾形調教師、関係者の皆様には感謝しかないですね。こんなに早く立たせていただいて、ありがたい限りです」と、かしこまりながらも笑顔がはじける。
中学3年の夏にジョッキーを志すも、当時の視力がJRA競馬学校の受験資格を満たさず断念。高校、大学は馬術部に所属し、16年から美浦トレセンに勤務した。22年度に馬術出身の小牧加が合格したことで自分にも受験資格があることを知り、騎手挑戦を決意。2度目の試験で合格を果たし、「少しでも障害レースを盛り上げられれば」と意気込んでいる。初騎乗で初勝利という、話題になる機会は逃せない。「相手はそろっていますが、東京のレコード(昨秋の同舞台での秋陽ジャンプS)を持っている馬ですし具合もいいので、何とかこのチャンスをものにできるように頑張ります」と、闘志を燃やした。(角田 晨)
◆坂口 智康(さかぐち・ともやす)1990年12月16日生まれ、33歳。福岡県出身。専修大4年時に馬術で関東学生優勝、全日本学生準優勝を飾る。卒業後は北海道日高町の坂東牧場、JRA競馬学校厩務員過程を経て、16年から美浦トレセンで勤務。20年から尾形和幸厩舎で調教助手。今年2月に障害の騎手免許試験に合格し、今春デビュー。5月19日に新潟で初勝利。172・5センチ、53キロ。血液型AB。