【プロキオンS】砂の新怪物が誕生 圧勝5連勝!無敗でのJRA古馬重賞初V 武豊「もっと強くなる」

無敗での古馬重賞制覇を飾ったヤマニンウルス(カメラ・高橋 由二)
無敗での古馬重賞制覇を飾ったヤマニンウルス(カメラ・高橋 由二)

◆第29回プロキオンS・G3(7月7日、小倉・ダート1700メートル、良)

 夏のダート重賞、第29回プロキオンS・G3は7日、小倉競馬場で争われ、デビュー以来無敗のヤマニンウルス(武豊)が1番人気に応えて5連勝で重賞初挑戦V。

 怪物降臨! ヤマニンウルスは4角に差し掛かると、3番手から進出。スタンドが、期待と衝撃でどよめいた。他馬が必死に追うが、直線入り口で先頭に立っても、まだまだ伸びる。もう敵は白旗を上げるしかない。3馬身差でデビューからの連勝を「5」に伸ばし、84年のグレード制導入以降、7頭目の無敗でのJRA古馬重賞制覇。武豊は「ほっとしています。改めてこの馬は強いな」と脱帽した。

 スタートを決め、外めの単独3番手で追走。武豊の「もまれこんだり、砂をかぶったりした経験がないので、そうならない方がいい」という思惑通り、絶好の位置を確保した。他馬の騎手が「ペースが速かった」という流れのなか、リズム重視で早めに進出。少し促されただけで楽々と先頭に立ち、圧倒的な力でねじ伏せる姿は、まさに横綱相撲。レジェンドも「まだ今日が5回目のレースですから。それで重賞で、この強さ、この内容」と賛辞を惜しまなかった。

 22年8月に同舞台でデビューし、グレード制導入後では平地最大着差の4秒3差で勝利。しかしその後は爪の不安などがあり、詰めて使うことができなかった。今回は半年ぶり、重賞初挑戦、初戦以来の長距離輸送といくつものハードルを克服。鞍上が「(今まで)乗った中では、一番いい雰囲気でした」と言うのだから、末恐ろしい。

 武豊は今年の“夏コク”初参戦で、20年小倉2歳S(メイケイエール)以来となる小倉でのタイトル。約2万人のファンの前で驚異的なパフォーマンスを見せつけ、「久しぶりに小倉で重賞を勝つことができて、すごくうれしい」とほほ笑んだ。しかし現在は北海道を主戦場とするだけに、猛暑には困り果てた様子。「馬の方が涼しそうに走ってた(笑い)。あっつ! 北組にはこたえるで!」としかめっ面も見せた。

 この後は放牧へ。斉藤崇調教師は「年末のG1に行きたい」と、チャンピオンズC(12月1日、中京)を大目標に置く。指揮官が「まだキ甲が抜けていないので、これからがすごく楽しみ」と言えば、名手も「キャリアを考えると、もっと強くなる」と“未完成”を強調。この日の馬体重584キロの大物は、まだベールを脱いでいない。「ヤマニンウルスが名馬と言われるように、一緒に頑張っていけたら」と武豊。ここから、新たな伝説が始まる。(水納 愛美)

 ◆ヤマニンウルス 父ジャスタウェイ、母ヤマニンパピオネ(父スウェプトオーヴァーボード)。栗東・斉藤崇史厩舎所属の牡4歳。北海道新冠町・錦岡牧場の生産。通算成績は5戦5勝。重賞初制覇。総獲得賞金は8346万1000円。馬主は土井肇氏。

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