◆キーンランドC追い切り(21日・札幌競馬場)
サマースプリントシリーズ第5戦、第19回キーンランドC・G3(25日、札幌=1着馬にスプリンターズS優先出走権)の追い切りが21日、札幌競馬場などで行われ、史上初の連覇に挑むナムラクレアは抜群の動きを披露。悲願のG1制覇を見据えた陣営の復帰戦への思いを、松末守司記者が「見た」。
レース史上初の連覇が現実味を帯びる貫禄の走りだった。去年と同じように長谷川調教師自らが手綱を執り、ナムラクレアが札幌・芝コースに登場した。単走でもバランスのいい走りで徐々にテンポを上げていくと、注目は左手前で迎えた直線。鞍上が仕掛けると一瞬で反応し、グッと加速。途中で右手前に馬が戻しながらも最後まで伸びて5ハロン63秒5―11秒1を計時する抜群の動きをみせた。
長谷川調教師は「余裕のある動き。あくまでも前哨戦ですが(状態は)去年に近いものはあるかな」と納得した。
栗東で乗り込み函館を経由し、札幌入りする調整は昨年と同じだが、今年はこれに“スパイス”を加えた。昨年は高松宮記念(2着)後、ヴィクトリアマイル(8着)を使っての出走だったが、今年は高松宮記念から直行するゆとりのローテを選択。そのため、栗東・坂路で行った7日の2週前追い切りで50秒3―12秒0の猛時計で刺激を与えた。師は「パンプアップさせるため」と話したが、目標のスプリンターズS・G1(9月29日、中山)での悲願があってこそ。本番で最高の状態に仕上げるための布石と言える。
人との縁も力を与えてくれる。クレアの半兄ナムラヘイハチロー、ナムラムツゴローはともに師匠である中村均元調教師の厩舎に所属。鞍上の浜中の師匠は「ナムラ」で知られるオーナーとつながりが深い坂口正大元調教師だ。ホースマンが紡いできた人と人とのつながりが、素質馬を高みへと向かわせている。師は「この縁は引退された師匠やオーナーとのつながりがあってのもの。その人たちにも喜んでもらえるように頑張りたい。もう天を仰ぎたくない」。人馬ともに果たしたい思いがある―。連覇へ盤石の構えであることは間違いない。(松末 守司)