第103回凱旋門賞・G1は6日、フランスのパリロンシャン競馬場で行われ、日本から参戦したシンエンペラーは12着。日本勢初制覇の期待が高かったが、悲願達成はならず。山下優記者はこの結果に、馬場適性が高いと見られていた同馬の変化を感じ取った。11度目の挑戦だった武豊騎手(55)=栗東・フリー=騎乗のアルリファーは11着。勝ったのは英国の4歳牝馬ブルーストッキングだった。
22年のアルカナオーガストセールで、凱旋門賞を走るために矢作調教師が競り落としたシンエンペラーは20年の勝ち馬、ソットサスの全弟。今まで挑戦した日本馬と比べても、最もパリロンシャンの馬場に合う血統と思われた。
前走の愛チャンピオンSは3着。当時先着したロスアンゼルスが本番で3着だったことを思えば、矢作調教師が「馬の状態はよかった。敗因をつかみ切れていないのが正直なところ」とがっくりと肩を落としたのもうなずける。勝ち馬が2番手から抜け出し、前が残る決着で、外を回らされる競馬で展開も厳しかった。鞍上の坂井騎手は「馬場も苦にしている感じではありませんでした」と話しているが、国内の牡馬クラシックを戦ってきたシンエンペラーの馬場適性が“日本馬らしく”なってしまったのかもしれないとも感じた。
16年から始まった馬券の売り上げも過去3位の46億円超え。日本馬1頭の参戦では過去最高だったように、矢作調教師と坂井騎手、そして藤田晋オーナーならやってくれるのでは、という雰囲気があった。深夜の東京競馬場のパブリックビューイングには多くのファンが集まっていた。
日本馬でのべ35頭目の挑戦も、難攻不落の壁に跳ね返された。中継を見ていて、落ち込むトレーナーの姿には心を打たれた。この敗戦もまた、このチームを強くさせるはずだ。心からこの挑戦に感謝したいと思う。(山下 優)