今年の凱旋門賞も日本の競馬ファンが待ち望んだ結果にはならなかった。レース当日は東京競馬場で行われたパブリックビューイングの盛り上がりを取材したが、日曜の23時20分出走にも関わらず約4600人もの競馬好きが集まったのには正直、驚いた。凱旋門賞制覇は競馬関係者だけではなく、ファンの悲願でもあるのだなと肌で感じた1日だった。
その翌日、スポーツ報知評論家である小島太さんに連絡した。シンエンペラー、もしくは武豊騎手が勝った場合、紙面で勝因をたっぷり語っていただく予定だったが、幻の企画に。その旨を伝える電話をした際、今後の展望などのお話をうかがえたので、ここで紹介したい。
小島太さんはもともと騎手時代から海外での騎乗に積極的なホースマンだった。調教師に転身してからも1997年のサクラローレル(前哨戦のフォワ賞=8着で故障して凱旋門賞は出走できず)、2002年のマンハッタンカフェ(レース中に故障して凱旋門賞13着)と2度、挑戦した経験者は今年のレースをどう見たのか。
「映像で各馬の走りを見る限り、かなり馬場は重そうだった。馬場が悪くなるほど、最後にスタミナの差が出る。今の日本馬は世界トップレベルだし、挑戦する各陣営はコンディションの作り方、ローテーションの決め方も心得てきているはず。やはり、馬場も含めて、あのトラックに合う馬であることが大事だと感じた」
小島太元調教師が出走させたマンハッタンカフェのときは良馬場だった。「死ぬまで言い続けるけど、(レース中に故障した)脚元が最後までもっていたら、絶対に勝っていた」と振り返った後、今後の日本馬について、こう展望した。
「運良く、雨が降らなければ間違いなく日本馬にもチャンスはあるが、それはレース当日になってみないと分からない。私が今、連れて行くなら強い牝馬。道悪になる可能性が高いならなおさらだよ。馬場が悪くなると斤量差はさらに影響するから」。
今年の上位2頭は牝馬で、2着の3歳牝馬アヴァンチュールが背負った55キロは今週の秋華賞と同じ斤量だった。今後も日本馬の挑戦は続くだろう。個人的にはハープスター(2014年=6着)以来の3歳牝馬の挑戦に期待しつつ、2歳牝馬をコツコツ取材していこうと思った。(中央競馬担当・西山 智昭)