【菊花賞】障害の名手がセントライト記念優勝馬を絶妙の仕上げ「G1へ向けていい負荷をかけられた」

石神深が手綱を執ったアーバンシック(中)は3頭併せで軽快な脚さばき
石神深が手綱を執ったアーバンシック(中)は3頭併せで軽快な脚さばき

◆菊花賞追い切り(16日・美浦トレセン)

 精神面の幼さが課題だったアーバンシックにとっては気性が荒く、繊細なことで知られるオジョウチュウサンの主戦だった石神深は頼もしい指南役と言えるだろう。

 J・G1・11勝を誇る名手はこの秋から同馬の追い切りを依頼され、前走のセントライト記念(レースはルメール)でいきなり重賞初Vにつながった。2週続けてまたがった16日の追い切りは、美浦・Wコースでシホリーン(2歳1勝クラス)とカリーシ(3歳2勝クラス)の間を追走。6ハロン81秒8―11秒3と、馬なりで脚を伸ばし、鞍上との呼吸はぴったりに見えた。石神深は「抜け出すとソラを使うのを修正するためにも、ゴール板過ぎまで併せられたし、いい調教ができた。G1へ向けていい負荷をかけられた」と笑顔で、仕事を全うした自信がみなぎっていた。

 同馬がデビューの頃に陣営の手を煩わせていたのは有名な話。前走時の最終追い切りでも馬場入りを嫌がる面を見せた。「前回でこうやったら止まるというのが分かったので、追い切りに行くまでに嫌な思いをさせないアプローチに。教育のために調教でわがままはさせないですけど、しつこくやってもっと嫌がってしまうことがないようにバランスを考えています」。この中間はそのような様子を見せず、早くも“石神深効果”が出ている。

 癖のある馬や成績が下降してきた馬を立て直し、実績を積んできた障害のトップジョッキーは引き出しが豊富。初の関西遠征や3000メートルの長距離戦は、いかに平常心でいられるかもカギになるだけに、その経験によって導き出された絶妙なさじ加減が、間違いなくプラスになる。(浅子 祐貴)

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