アーモンドアイ、蹄鉄変更フルパワー解禁で史上最強!有馬で鬼脚

蹄鉄による“リミッター”が解除されるアーモンドアイ。有馬記念はフルスロットル(カメラ・安藤 篤志)
蹄鉄による“リミッター”が解除されるアーモンドアイ。有馬記念はフルスロットル(カメラ・安藤 篤志)
アーモンドアイの実際の蹄鉄。右前脚(左)は、左前脚に比べて短くなっているのが分かる
アーモンドアイの実際の蹄鉄。右前脚(左)は、左前脚に比べて短くなっているのが分かる

 日本中央競馬会(JRA)の一年の総決算、第64回有馬記念・G1が22日、中山競馬場で行われる。注目は国内外でG1・6勝を挙げ、ファン投票でも11万票近くを集め1位に輝いたアーモンドアイ。予定していた香港遠征を発熱のため回避したが、順調に回復し、暮れの大一番へ駒を進めた。今回、同馬の圧倒的な走りを支える蹄(てい)鉄に、変化が加わることが判明。今まで以上の未知なる走りへの期待が高まる。

 強く美しい最強女王が、きらびやかなグランプリの舞台にお出ましだ。国内外G16勝を誇るアーモンドアイは、歴戦の超豪華メンバーを相手に“最強馬の証明”を誓う。主戦騎手を務めるルメールは「日本で有馬記念は特別。みんなが見に行きたいと思うレース。私にとってもスペシャルで好きなレース」と、大一番へ胸の高ぶりを隠さない。

 秋初戦の天皇賞・秋。好位5番手から直線では圧巻の末脚でねじ伏せ、3馬身差をつける完勝だった。ギアを上げた時の抜群の加速力は、鞍上が「フェラーリ」に例えるほど。それが「8割の仕上がりだった」と言うのだから恐れ入る。目標にしていた今月8日の香港カップは出国直前に微熱が出たため回避したが、幸いすぐに体調が回復し、有馬記念出走がかなった。

 そんなアーモンドに一足早い“クリスマスプレゼント”だ。今回、本格化してから初めて、右前脚に通常の蹄鉄を装着して走ることになった。

 牝馬3冠を達成した3歳の頃から、優れた身体能力ゆえに後ろ脚の踏み込みが深く、前脚とぶつかって傷めることがあり、保護する目的で「4分の3蹄鉄」など特殊な馬具を使用していた。同馬を担当する装蹄(そうてい)師の牛丸広伸氏は「爪の形通りの普通の蹄鉄の方が、馬場のかみはいいでしょう。前脚もかみ出すと、全部のバランスが良くなると思う」と説明する。これで芝をグリップする力が増せば、今まで見たことのない、未知なる走りが見られるかもしれない。

 舞台となる中山コースは未経験で、2500メートルの距離も初めてだ。それでも国枝調教師は「逆に楽しみがある。不安があったら使わないし、もう発熱は問題ない」と自信をにじませる。1週前追い切りでは、美浦・Wコースで1000メートル65秒6―11秒8を楽にマーク。2馬身後方から追いかけた僚馬を一気に2馬身突き放し、状態は不安どころか、100%に近い雰囲気だ。

 キャリア10戦で、黒星はまだ幼かった新馬戦(2着)と不利が響いた今年の安田記念(3着)だけ。力負けは一度もない。「まだこの馬には限界が見えない」と国枝師。芝のG1・7勝目となれば、ディープインパクトやキタサンブラックに並び最多。一体、どんなパフォーマンスを披露してくれるのだろう。(坂本 達洋)

 ◆アーモンドアイの蹄鉄 競走馬の前脚はハンドルの役割を担い、後脚はより速く走るための推進力を生み出している。デビュー当時は両前脚ともに通常の蹄鉄を装着していたが、3歳春頃から成長していくにつれ、バネが強力な後脚が前脚にぶつかることがあったため、特に右前脚は保護材などを用いた特殊蹄鉄を使用してきた。4歳を迎えた今年は走りのフォームが固まってきたからか、ぶつけるようなトラブルが減少。ただ、前走の天皇賞・秋も、ひづめの負担を軽減する狙いで右前脚の内側だけ鉄の部分がない「4分の3蹄鉄」を使用していた。

 ◆アーモンドアイのあらかると

 ★生まれ 2015年3月10日、北海道・安平町のノーザンファーム。

 ★馬名の由来 美人とされる顔の目の形から。

 ★愛称 国枝師らは「アイちゃん」ではなく「アーモンド」と呼ぶ。

 ★性格 お嬢様タイプ。顔をなでられるのはスキだが、体を触られるのは嫌がる。結構、気が強い!?

 ★食欲 3歳春まではあまりカイバ(餌)を食べなかったが、今はバリバリ。「牝馬にしては食べる方」と根岸助手。

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