【皐月賞 牧場からのエール】前野牧場、アサマノイタズラでクラシック初挑戦 何とかダービーにつなげたい

アサマノイタズラが生まれた前野牧場(同牧場提供)
アサマノイタズラが生まれた前野牧場(同牧場提供)

◆第81回皐月賞・G1(4月18日、中山競馬場・芝2000メートル)

 前走のスプリングSで2着に入ったアサマノイタズラが、追加登録料200万円を払って参戦する。生産した前野牧場にとって初のクラシックだ。家族経営の小さな牧場だけに、「皐月賞に出られるだけでも夢のようですが、5着以内に入ればダービーの出走権も頂けるということで、この間、牧場に来られた手塚先生に何とかお願いしますと言いました」と前野真一代表(40)は夢舞台へ胸を高鳴らせる。

 父親の代で祖母のオペラレディを繁殖セールで購入。その時受胎していたのが母のハイタッチクイーンだった。経営が苦しい時からお世話になった星野寿市オーナーから「おまえの牧場の馬で重賞を取りたい」との熱い思いを受け、オルフェーヴルを2回、次にディープインパクトと配合したが、産駒は大成には至らず。「何とか馬格のある子供を」との願いから前野代表が選んだのが大型のヴィクトワールピサ。4番目の子として誕生したのがアサマノイタズラだった。前野代表は「大人しくて放牧地でも素軽い走り。皮膚も薄くむちゃくちゃ良かった」。現在は500キロにもなる迫力ある馬体は、並々ならぬ苦労があって実を結んだものだ。

 生産馬として同じヴィクトワールピサ産駒のオパールムーンも桜花賞に登録していたが回避が決まり、そのぶん前野代表がアサマノイタズラに懸ける思いは一層強くなった。「相手はほとんどノーザンファームの馬ですが何とか意地を見せてほしい」。当日は父親が競馬場に足を運び、他のスタッフはテレビで観戦予定。遠く日高の地から声援を届ける。(石行 佑介)

 ◆前野牧場 北海道日高町で1979年に開設。前野代表の他にスタッフは父、母、妻、弟、パート1人の計6名。現在、繁殖牝馬は22頭。アサマノイタズラのスプリングS・G2・2着の他に、昨年オパールムーンがファンタジーS・G3で2着、93年のウインターS・G3でヘイセイシルバーの3着などがあるがJRA重賞は勝っていない。昨年の阪神JFにオパールムーンが中央G1に初めて出走した。牧場のヴィクトワールピサ産駒の勝ち上がり率は100%。

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