◆第39回マイルCS・G1(11月20日、阪神・芝1600メートル)
第39回マイルチャンピオンシップは20日に阪神競馬場で行われる。白毛のアイドルホース、ソダシは1番人気で喫した連敗から勝利を目指す。勝てば、歴史的名牝だけが達成してきた3年連続のJRA賞受賞も見えてくる一戦。再び輝きを取り戻せるのか。ここ2走の敗戦から陣営が手にした確信を元に、ヤマタケ記者がソダシの復権を「読み解く」。
明らかに吹っ切れたような表情は今でも忘れられない。ソダシが1番人気で5着に敗れた札幌記念のレース直後。須貝調教師は何から話を聞くべきか考えていた私の姿を見るといきなり「これではっきりしたな」と切り出した。さらに言葉は続く。「適距離はマイルだと思います」。今までの取材中に選択肢として、天皇賞・秋も出たことはあった。しかし、この瞬間から視線の先は3か月後のマイルCS1本に定まったと言っていい。
この中間の取材中でよく聞くのが「ワンターンがいい」という言葉だ。驚くほどの強さでG1馬4頭を含む強敵を圧倒したヴィクトリアマイルもそうだが、今年の始動戦だったフェブラリーSの3着は馬場を一周するチャンピオンズC(12着)からコーナー2回のワンターンへコース形態が替わり、結果も一変した。「コーナリングがそんなに上手ではないんです」。今回はG13勝を含む4戦4勝の距離。ワンターンのマイルという条件は現状、間違いなくベストだろう。
歴史に残る名牝たちに肩を並べるかもしれない。今年も話題の中心に立っていた白毛のアイドル。今年は複数G1を勝っている古馬牝馬、短距離馬はおらず、この結果次第では一昨年の最優秀2歳牝馬、昨年の最優秀3歳牝馬に続く3年連続のJRA賞も見えてくる。過去に牝馬で3年以上連続の受賞は、ウオッカやジェンティルドンナなど6頭。歴史的な名牝に名前を連ねることになるが「こればかりは人が決めることだからね」とトレーナー。今は目の前の大一番に徹する姿勢を貫く。
青写真通りに仕上げている。前哨戦にマイルの富士Sではなく、その1週前に行われた府中牝馬Sを選択したのは本番への間隔を少しでも長く空けるため。「叩き台」と戦前から口にしていた一戦を2着にまとめ、中間の調整は熱量が違う。府中牝馬Sでは栗東の坂路で余力残しだった1週前追い切りも、今回はCWコースでビッシリと追われ、6ハロン79秒5の自己ベストをマークした。
「脚元に何の問題もない馬だから攻められる。これだけ動けば問題ないです」。今年の集大成となる一戦は、芝で初の牡馬混合G1。壁は高い。しかし、芝マイルはG13勝を含む4戦4勝。輝きを取り戻す復活Vは十分にあると思っている。(山本 武志)