【阪神JF】モリアーナで武藤家G1初制覇へ 娘が名付け親、息子が手綱 父の善則調教師「ようやく勝てるチャンス」

武藤調教師(左)は、息子の雅(右)をモリアーナの鞍上に配し頂点を目指す
武藤調教師(左)は、息子の雅(右)をモリアーナの鞍上に配し頂点を目指す

◆第74回阪神ジュベナイルF・G1(12月11日、阪神競馬場・芝1600メートル)

 阪神ジュベナイルフィリーズ(11日、阪神)で2歳女王の座を狙うモリアーナは、武藤善則調教師(55)=美浦=とその息子・雅騎手(24)=美浦・水野厩舎=の親子コンビに注目だ。勝てば調教師&騎手ともにG1初制覇となる。

 家族の絆、そして大きな夢が詰まっている。無傷の2連勝中で頂点を目指すモリアーナは、武藤調教師にとって初のG1タイトルを大いに意識させている。デビューから手綱を執り続ける息子の雅騎手と“親子鷹”で挑む大舞台へ、「開業20年目にして、ようやく勝てるチャンスがあると胸を張れる馬」と、かなりボルテージは上がっている。

 6月の東京での新馬戦は、好位で脚をためて、上がり最速33秒0の切れ味で3馬身差の完勝。2戦目のコスモス賞も2番手から、2馬身差をつける楽勝だった。まだ底を見せておらず、指揮官は「前に馬がいれば、歯を食いしばって差す根性がある」と能力を絶賛する。

 20年のセレクトセール当歳で3000万円で落札されたが、育成の段階で顎の骨肉腫にかかるアクシデントに見舞われた。「何か月も競走馬になれないのではと言われていた。でもそれを乗り越えてからは、人のイメージ通りにきてくれた。本当に生命力があるな」と武藤師。デビュー前から素質は光っていたが、それ以上に思いはひとしおだ。

 さらに闘志を高ぶらせるのは、馬主の高橋文男さんには騎手時代からお世話になってきたからだ。「僕がルーキーの時から乗せてもらっていて、(所属していた)黒坂(洋基)厩舎に、もともと馬が入っていたご縁があった。期待度は伝わってきますよ」。最近はSNSを使って愛馬の動画を送るなどして、喜んでもらっているという。

 調教師に転身してからも愛馬を預けてもらい、そのネーミングは武藤師に多くが任されてきた。モリアーナの命名には「馬に手応えがありすぎて、1回別の名前をつけたんですけど、これ違うな、と思って(苦笑い)」と頭を悩ませたという。そこで歌手として活躍する娘の彩未(あやみ)さんに相談したところ、提案してくれた名前が「思いのほか、かわいい」と感じ、慌てて別の馬名登録の申請を取り下げて、今の名前に決まった。

 馬名の由来は「スラブの伝承に登場する風の女神」。彩未さんが神話好きの知人から存在を知り、武藤師によれば「競走馬にピッタリだと思っていたら、ピッタリの馬がいたので、運命だと思ってつけました」とのことだ。娘が名付けて、息子が手綱を執って、いざG1へ。「(オーナーは)孫みたいな感覚で(雅を)乗せてくださって、俺もこういう機会はないと思う」。温かい絆で結ばれた人馬に、恩返しの時がやって来た。(坂本 達洋)

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