香港国際競走が12月11日に香港のシャティン競馬場で行われる。G1香港ヴァーズ(芝2400メートル)では、日本のグローリーヴェイズ(牡7歳、美浦・尾関知人厩舎)が3度目の勝利を狙う。そこで小欄では昨年の当レースを振り返ってみたい。
8頭による争いとなった昨年は、地元のリライアブルチーム(8着)と日本のステイフーリッシュ(5着)がレースを先導し、前半1200メートルは1分16秒34のスローペース。一方、後半1200メートルは1分10秒73と前半より4秒以上速く、いわゆる後傾ラップで展開した。
好位3番手で流れに乗った英国のパイルドライヴァーが最後の直線入り口で先頭。同馬が完全に抜け出したところ、すべてをひっくり返したのがグローリーヴェイズだった。後方2番手追走から直線大外を豪快に伸びて、2着パイルドライヴァーに1馬身差をつける快勝。日本調教馬初の香港ヴァーズ2勝を達成した。勝ち時計は2分27秒07(良馬場)。
グローリーヴェイズの上がり400メートルはメンバー中最速の23秒23(2位は2着パイルドライヴァーの24秒04)。負かした2着馬はのちに英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制する強豪だが、それを問答無用で差し切った決め手はさすがの一言だ。
今度の香港ヴァーズへ向けた展望としては、グローリーヴェイズはもちろん有力候補。今年2戦してG1ドバイシーマクラシック8着、札幌記念6着と案外だが、前者はあまり成績の伴っていない左回りかつスローペースで末脚不発、後者は休み明けで馬場も展開も合わなかった印象がある。昨年4月のG1クイーンエリザベス2世C2着の実績もあるように、右回りの平坦コースで馬場状態も良好なシャティンの舞台は明らかにプラス材料。今回が引退レースとのことだが、史上初の当レース3勝を決めて有終の美を飾る可能性は十分だ。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月11日(日)ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。