小欄ではG1香港カップについて血統面から検討したい。過去5年を調べると2019年1着、2020年2着ウインブライト(父ステイゴールド)、昨年1着ラヴズオンリーユー(父ディープインパクト)、同2着ヒシイグアス(父ハーツクライ)と、サンデーサイレンス系種牡馬の産駒が3年連続で連対中。今年の該当馬で買い材料も多いのがダノンザキッドだ。
ダノンザキッドは、父がジャスタウェイ。父系祖父ハーツクライの産駒と言えば前記ヒシイグアスのほかに、ヌーヴォレコルトも2015年の当レースで2着に好走している。ハーツクライ、ジャスタウェイともにドバイでG1制覇を果たしており、父系3代による海外G1勝利の可能性も十分だ。
ジャスタウェイ | ハーツクライ 鹿毛 2001 | サンデーサイレンス |
アイリッシュダンス | ||
シビル | Wild Again | |
シャロン | ||
エピックラヴ 鹿毛 2008 ダンチヒ系 | Dansili 黒鹿毛 1996 | デインヒル |
Hasili | ||
Leopard Hunt 栗毛 2001 | Diesis | |
Alcando |
母の父ダンシリも良い。母の父として2019年2着マジックワンド、父としても2012年2着ジオフラと好走馬がいる。ダンシリの後継ハービンジャーからは2020年1着ノームコア、2018年2着ディアドラが出ており、G1香港カップで積極的に狙うべき血脈と言えるだろう。
パンサラッサは、父がロードカナロア。兄弟制覇を果たした2017年タイムワープと2018年グロリアスフォーエバーは、父がキングマンボ系アーキペンコ、母の父がストームキャット系ストーミーアトランティックだった。ロードカナロアは父の父キングマンボ×母の父ストームキャットだから、かの兄弟に似た血統構成だ。パンサラッサの母の父モンジューも当レース向き。2016年2着シークレットウエポンの母の父、2017年2着ワーザーの父の父にあたる。
ロードカナロア | キングカメハメハ 鹿毛 2001 | Kingmambo |
マンファス | ||
レディブラッサム 鹿毛 1996 | Storm Cat | |
サラトガデュー | ||
ミスペンバリー 鹿毛 2002 サドラーズウェルズ系 | Montjeu 鹿毛 1996 | Sadler's Wells |
Floripedes | ||
Stitching 鹿毛 1992 | ハイエステイト | |
Itching |
ジャックドールは、父がモーリス。2015年のG1香港マイル、2016年のG1チャンピオンズマイル、そして同年のG1香港カップと、シャティンにおける父の強さは圧倒的だった。産駒からはピクシーナイト、ジェラルディーナのほかに、G1ATCダービーのヒトツ、G1ドゥームベン10,000のマズと豪州でもG1ウイナーが出ており、ジャックドールによる当レースの父子制覇も期待したいところだ。
モーリス | スクリーンヒーロー 栗毛 2004 | グラスワンダー |
ランニングヒロイン | ||
メジロフランシス 鹿毛 2001 | カーネギー | |
メジロモントレー | ||
ラヴァリーノ 栗毛 2004 ミスタープロスペクター系 | Unbridled's Song | Unbridled |
Trolley Song | ||
Sous Entendu | Shadeed | |
It's in the Air |
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月11日(日)ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。