【ドバイ・ターフ】ドウデュース、世界に強さみせつける「ダービー馬は強くないといけない」友道康夫調教師の信念を体現だ

ダイナミックなフォームでダートコースを駆け抜けるドウデュース(カメラ・高橋 由二)
ダイナミックなフォームでダートコースを駆け抜けるドウデュース(カメラ・高橋 由二)

◆ドバイ・ターフ・G1(3月25日、メイダン競馬場・芝1800メートル)

 【ドバイ(UAE)23日=ペン・松末 守司、カメラ・高橋 由二】昨年の日本ダービー馬ドウデュースがドバイ・ターフ(25日、メイダン競馬場)で凱旋門賞以来、3度目の海外レースに挑む。友道康夫調教師(59)の「ダービー馬は強くないといけない」という信念を体現すべく、世界に強さをみせつける。

 強いダービー馬が帰ってきた。ドウデュースの古馬初戦だった京都記念。直線であっという間に他馬を置き去りにすると、次元の違う脚で突き抜けた。19着だった凱旋門賞以来の実戦で鮮やかな復活V。「ある程度の自信はあったけどね。凱旋門賞があんな結果だったので、ここで何とかという気持ちはありました」

 友道調教師のホッとした表情には理由がある。現役最多のダービー3勝を挙げるトレーナーが日頃からよく口にするのが「ダービー馬は強くないといけない。負けられないというのはある」という言葉。しかし、自ら手がけたマカヒキとワグネリアンはその後にG1を勝てなかった。「ダービーはあの時期に完成されている馬が勝つと思う。マカヒキはダービー後、下がりはしないが平行線だった感じ。ワグネリアンは今から考えれば、ずっと病気【注】があったと思う」と冷静に振り返る。

 友道師の強い思いを体現するように、ドウデュースは進化を続ける。ドバイ遠征へ向けた2日の栗東・CWコースでの追い切り。軽く促した程度で21年12月の自動計測開始以降、最速タイとなるラスト1ハロン10秒6をマーク。手綱を執った武豊を「馬ってこんなに速く走れるんだ」とうならせた。「今はダービーの頃より具合がいいんじゃないかな。今までで一番いいと思う。日頃から活気があるからね」とトレーナーも満足そうにうなずく。

 再び海を渡り、今回の舞台はドバイ。これまで4頭を出走させ、17年のターフを勝ったヴィブロスなど【1・3・0・0】と連対を外したことのない抜群の相性だ。「こっちでほとんどつくって、現地に着いてから10日で競馬だからね。芝もそんなに変わらない」と日本の競馬に近い設定で臨めることが好走の要因であると指摘。そして、再び愛馬に視線を向けた。「心配ないと思います」。史上最高のドウデュースが、ダービー馬の強さを世界に伝える。(山本 武志)

【注】昨年1月5日に多臓器不全で死んだ。胆管に大きな胆石が詰まっていたことが判明し、友道師は「そんなにすぐなるような病気ではない」と話していた。

 ≪ダービーと同じ13番枠≫

 懐かしい記憶がよみがえった。ドウデュースは13番枠からの発走が決定。友道師は「第一印象はダービーと同じ枠だと思いましたね」と切り出した。ただ、4つのコーナーがある東京の2400メートルとは違い、今回はワンターン。「それほど気にしていません」と冷静だった。

 この日はダートコースをキャンターで走った。先週18日に芝コースで時計を出した後、今週は馬場入りをせず。厩舎周りの角馬場を中心に調整を続けた。「リラックスさせることに専念しました。馬場に入れると、スイッチが入ってしまうから。(この日は)前進気勢が旺盛で、いいキャンターだった」とトレーナー。平常心を保ち、本来の走りさえできれば、結果は自然とついてくる。(メイダン競馬場)

 ◆友道 康夫(ともみち・やすお)1963年8月11日、兵庫県生まれ。59歳。89年から浅見国厩舎、松田国厩舎を経て、2002年11月に厩舎開業。05年の朝日チャレンジC(ワンモアチャッター)で重賞、08年の天皇賞・春(アドマイヤジュピタ)でG1初制覇。18年に最多賞金獲得調教師、20年に最高勝率調教師のJRA賞を受賞。JRA通算675勝。重賞はG1・17勝を含む58勝。

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