◆第67回大阪杯・G1(4月2日、阪神競馬場・芝2000メートル)
上昇し続ける成長曲線が強みだ。ヴェルトライゼンデの母系は3歳クラシック戦線で力を発揮する一方、古馬になっても結果を残している。母の父アカテナンゴは独仏G1・7勝の名馬。85年に5連勝で独ダービーを制すると、4歳9月まで12連勝した。母マンデラは独オークス3着で重賞勝ちこそないが、産駒には完成の早さと成長力がともに受け継がれている。
半兄ワールドエースはデビュー3戦目できさらぎ賞を制覇。皐月賞2着、日本ダービー4着の後は屈腱炎で約1年8か月も休養したが、復帰後に5歳で読売マイラーズCを勝った。1つ上の兄ワールドプレミアは19年の菊花賞覇者。勝利からはしばらく遠ざかったが、5歳時に天皇賞・春で約1年半ぶりの復活星を挙げた。
ヴェルトライゼンデも兄2頭と似た道のりを歩んでいる。ダービー3着を含む3冠に皆勤。4歳初戦のアメリカJCC2着後に屈腱炎を発症したが、復帰初戦の鳴尾記念を勝ち、ジャパンC3着、日経新春杯Vと躍進を続けている。「休んで、切れ味のある競馬もしてくれる。若い感じがするし元気」と担当の橋口助手。6歳にして、衰えるどころか進化を続けている。
クラシックで主役級になる馬は“早熟”で終わる場合もあるが、この牝系は息の長い活躍を見せている。ヴェルトライゼンデも、生まれ持った素質にさらに磨きをかけ、G1タイトルをつかむ。(水納 愛美)