◆第167回天皇賞(春)・G1(4月30日、京都競馬場・芝3200メートル)
先週グランドオープンした京都競馬場で初めてのG1となる第167回天皇賞・春(30日)は、武豊騎手(54)=栗東・フリー=が歴代最多8勝を挙げる得意レースだ。今年はヒュミドールとの初タッグで挑む盾男に、3年ぶりとなる淀の3200メートルの攻略法を水納愛美記者が「聞いた」。
21年秋から競馬記者になった私は、京都競馬場は“初めまして”。天皇賞・春を楽しむためにも、予想するためにも、まずは京都を知らなければならない。ならば、淀を「俺の庭」と話す武豊騎手に聞こう。京都の攻略ポイントはどこですか? 単刀直入に直撃した。
まず挙げたのが、3コーナーの上り坂と4コーナーの下り坂だ。「独特。他の競馬場にはない」。直線が平坦なため、下り坂でスピードに乗ったまま押し切る場合もあるという。ただ、その加速をどう利用するかは騎手の腕にかかりそうだ。「坂のあり方は(パリ)ロンシャンみたい」という例えも聞き、上級者向けの印象が強くなった。
近2年で代替開催されていた阪神と比べると、芝の質も違うという。「(京都は)阪神より軽い。阪神の長距離は乗っててもしんどい」。よく“阪神の長距離はタフ”と聞くが、名手も同じ感覚のようだ。「阪神だと切れ味がそがれる馬が京都だと生きる。ちょっとペースが不器用でもしまいの切れ味で、とかね」。阪神はパワーで、京都はスピード。適性はかなり異なると言える。
武豊は京都でG1・23勝。その一覧を見せると、「トーセンラーとか京都強かったもんな」と、13年マイルCS覇者を指さした。確かに全4勝が京都。マイルCSも20~22年は阪神開催だったが、「阪神じゃ多分勝てんかったと思う」とまで言うから驚いた。「ディープ産駒で切れ味があったから、下りから流してきてってのがぴったりだった」。まさに、舞台適性を生かした勝利だった。
さらに、レジェンドは自ら“王者”に言及した。「タイトルホルダーなんか阪神やと無敵やけど…」。まさか、弱点が?「京都じゃああいう馬場にならへんから。あんま楽逃げもできひんしね」。連覇の最大の敵は、もしかしたら初めて経験する京都かもしれない。
今回の改修ではスタンドやパドックも一新された。しかし私の京都取材デビューは今週。「世界最高の競馬場ちゃう。すごいきれい、かっこいい」。本当に世界を知る武豊が言うのだから間違いない。早く行きたい…!「面白いよ、京都の天皇賞」。その一言だけで、もう日曜日が待ちきれなくなった。(水納 愛美)
○…武豊は今年、ヒュミドールとの初コンビで参戦する。前走のダイヤモンドSでは13番人気ながら首差2着と激走した。3000メートル以上では全3戦で掲示板を確保しており、距離適性は十分。「乗りやすそうな馬だなと思う。長距離だとそれは武器になる。内枠でも当たって、その器用さを使えば上位に来れないかな」と一発を狙う構えだ。